銀座 ソニービル外壁までキャンバスにした「Canvas @ Sony 2009」

ソニーは、今年で第3回目となるイベント「Canvas @ Sony 2009」の発表会を行った。期間は10月23日から来年1月14日まで(ソニービル8階 OPUSでのギャラリー展示は10月23日から11月3日)。銀座 ソニービル外壁の「アートウォール」(縦38m×横6m)に作品を掲げる。

そのほか、VAIO Wシリーズ、ウォークマン Wシリーズ、ヘッドホン、ソニーエリクソンの携帯電話の待受画面をキャンバスに見立ててデザイン。これらの製品は期間・台数限定で、ソニースタイル 銀座・大阪と直販サイト「ソニースタイル」で販売する。

ソニービル2階にあるソニー製品とアーティストのコレボレーションコーナー

今年は、作品の選定についてオンライン上で公開オーディションを実施。国内外の約1200名の応募の中から、斬新でオリジナリティの強い、宮島亜希さん、riyaさん、斉藤高志さんの3名を選出した。宮島亜希さんは大胆な構図と配色でインパクトが強く、洗練された時代を切り開いたような作品。riyaさんは、古代エジプト文字「ヒエログリフ」をイメージさせるストーリー性の高い作品。斉藤高志さんが描く人物画は重厚で圧倒的な存在感を持っている。

発表会ではまず、ソニー バイスプレジデント ブランド担当 河内聡一氏が「Canvas @ Sony」に対するソニーの想いを語った。河内氏は、20年前にオーディオ商品を開発した経験があり、当時は、自分がほしいような商品を、デザイナー、エンジニアとともに開発し、販売していた。商品を店頭に並べて、うれしそうにユーザーが触る、そして買ってくれたユーザーから手紙をもらう、商品に共感した記者が記事を書くという商品化の活動の中で、ソニーが文化を創っているという高揚感、達成感を感じてきたとのことだ。

「Canvas @ Sony 2009」への想いを語るソニー バイスプレジデント ブランド担当 河内聡一氏

最近のCMなどでは、ソニーのロゴの下に"make believe"と書かれている。believeは夢見ること、何か想像することで、makeがそれを実現すること。まさに、ソニーのスピリットとなっている。このスピリットをユーザーだけでなく、アーティストにも感じてもらい、製品に表現してもらい、ユーザーに見てもらい、共感してもらうために、この3年間、「Canvas @ Sony」を続けてきたとした。今回も多くの人に、若い3人のアーティストの作品を手にとって見てもらい、メッセージを感じてもらいたいとした。

次に、ソニー ブランドマーケティング部 ディレクター 若松真希子氏が「Canvas @ Sony 2009」の詳細を紹介した。

「Canvas @ Sony 2009」の取り組みを紹介するソニー ブランドマーケティング部 ディレクター 若松真希子氏

まずは過去の2年間の状況を説明。初年である2007年は、3人のアーティストがグラフィック的なソリッド感のある作品を創り上げた。2008年では、手作り感、ぬくもり感のある作品を創るアーティスト3名に参加してもらったとした。2009年は3年目ということで、いままで以上に楽しくプロジェクトに取り組んだと語った。

今年は"Art Loves Music"をテーマに、アートを軸に音楽の要素を追加することで、より多くの方にプロジェクトを知ってもらったり、アートに触れてもらったりする機会を増やしたいとし、「アートの切り口だから、ジャンルはアート」というだけではなく、音楽を聞きながら気軽に楽しむアートもあってはいいのでは、というコンセプトも含んでいる。

今回はギャラリー展示の最終日、11月3日にFM802/スペースシャワーTVの「Art Loves Music」番組公開イベントを開催。K、清水翔太、スキマスイッチ、福原美穗が参加したイベントを開催すると発表した。

続いて、アートウォール・オーディション実行委員会を代表し、アートディレクター長友啓典氏が挨拶。今年選ばれた3名は、それぞれテクニック、技法は違うが、時代の文化を的確に捉えて、いまでしかできない表現を行っている。そこに実行委員会は感動した。このような感性を大きく育てて、今後は世界に羽ばたいてもらいたいとした。

アートディレクター長友啓典氏

そして、FM802 digmeout FACTORY プロデューサー 谷口純弘氏、ソニー クリエイティブセンター シニアデザイナー 小宮山淳氏が、「Canvas @ Sony 2009」で選ばれた3人のアーティストを紹介した。

谷口氏は、年々レベルが上がっていて、今年は相当いいアーティストが揃ったと語った。ただ絵が上手だけじゃなく、将来にむけて絵を仕事としてやっていく意志が感じられる人たちを選んだという。

ソニーで15~16年製品デザインをしてきた小宮山氏は、ソニーは音楽、映画、ゲームなどのエンタテインメントを創っているが、人にとって生活必需品ではないことをしているため、本当に楽しかったり、面白かったりすることを真剣に考えないと不必要な会社になってしまう。そのため、このようなプロジェクトに本気で取り組んでいると述べた。そういう視点で選んでいるので、新人を発掘して育てようではなく、助けてもらう、真剣になって楽しいことを考えてもらうパートナーを選ぶつもりで進めてきた。そこで、尊敬に値するというか、自分たちが愕然とするようなアーティストを選んだとのこと。

FM802 digmeout FACTORY プロデューサー 谷口純弘氏、ソニー クリエイティブセンター シニアデザイナー 小宮山淳氏が3人のアーティストを紹介

宮島亜希さんは、今回のオーディションの中でも目立った存在。選ばれたことについては「まだ信じられない感じ」だという。キレイでスタイリッシュな絵だが、闇の部分も持っているとの総評。今回の絵については、「"Art Loves Music"というテーマだったので、音楽を感じるときは、包まれる、埋もれる感覚が個人的には持っているので、それを表現しました」。ソニー製品とのコラボレーションについては、「与えられたスペースに描くというのを考えながら、絵を描いてスペースに当てはめるという、絵でデザインする感じでした」とのことである。

アーティストの宮島亜希さん。キレイでスタイリッシュな絵を描く

riyaさんは、切り絵をベースにした技法的な作品を創っているが、オーディションでは人の一生まで描かれているところに惹かれたそうだ。参加したことについてriyaさんは、「初めて、ヘッドホンやVAIO、大きな絵に挑戦させていただいて、感謝しています」。VAIOとのコラボレーションでは、「ニュースで白いクジラが黒いクジラを連れているところを見て、一気に書き上げました」とのこと。展示作品で注目したいのはアニメーション。アートウォールのコンセプトにあった楽しいものとなっている。

切り絵をベースにした絵を描く、アーティストのriyaさん

斉藤高志さんは、しっかりした絵の技術を武器としている。絵画表現のなかにキュービズムを持っていたり、でもポップだったり。斉藤さんは「技術を重視しているので、立体感のある絵、昔の絵画のように陰影があって、絵としても楽しめるものを意識しています」とのこと。小宮山氏は、絵というよりは彫刻としてのフォルムがよくて、立体物としてグッと来たとした。

しっかりとした技術を持ち立体的な絵が特徴の斉藤高志さん

最後に、タレントのマリエさんが登場。担当しているスペースシャワーTVの番組「MUSIC UPDATE」内で「Canvas @ Sony 2009」を紹介するマリエさんは、「美術館に行くのがスゴク好き」というアート好きの一面を持っている。

「Canvas @ Sony 2009」については、「若いアーティストが作品を表現する場所を持てるのはすばらしいことだと思います。それが身近なヘッドホンやPCだったり、生活の中でアートが感じられるのはステキなことですね」とのこと。

最後にタレントのマリエさんが登場し「Canvas @ Sony 2009」を盛り上げた

宮島亜希さんの作品

riyaさんの作品

斉藤高志さんの作品

各アーティストが手にしているのは自分がデザインしたVAIO

左から宮島亜希さん、riyaさん、斉藤高志さんとソニーとのコラボレーションモデル