「中国インターネット違法と不良情報通報センター」の設立主旨は、ネットワークの経営やネットワーク接続におけるマナーを促進し、ネット上のモラル意識を発揚して、低俗なものを排斥するところにある、とされている。

このほど、同センターを管轄する中国インターネットニュース情報サービス工作委員会は、インターネット業界とネット利用者に対し、「北京五輪を機に、新たなネットワークモラルを樹立する」ことを提唱。

国民から通報が寄せられたサイトに対して、部分的な抜き打ち検査や審査を行い、インターネット関連の法律・法規に基づき、違法かつ低俗なコンテンツのあるサイトに対しては「違法有害コンテンツの削除通知書」を出し、期限付きで改善を求めるとした。その上で、改善を拒否するサイトや徹底した改善を行わないサイトに対しては、引き続き社会へ公表し非難するという。

抜き打ち検査の結果によれば、ほとんどのサイトは、法律・法規の要求通り改善を行っているが、少数のサイトには大量の違法コンテンツがいまだに存在し、通報センターから注意されても、改善を拒否している。

ネット技術の進展に伴い、わいせつ情報も氾濫

中国インターネット違法と不良情報通報センターが公表したこれまでの通報内容から見ると、公共安全に関わるような極少数のもの以外は、ほとんどが低俗情報(主にわいせつ情報)であり、違法・有害情報の大部分を成していることがわかる。

政府の厳しい取り締まりをあざ笑うかのように、ブログ、検索を巧みに利用したネット上の違法・有害情報が後を絶たず、それどころか日増しに地下に潜り、根を張り巡らしている。

例えば、有名女優の張鈺氏のわいせつ映像を掲載して中国中を驚かせた映像サイト「優酷網」が、最近またも「流血の黄色いビデオ」(黄色は中国語でポルノの意)というタイトルのドキュメンタリーを登場させている。作者は、再三その社会的意義を強調しているが、タイトル中の一部過激シーンがネット上で大きな反響を呼んだ。

新興サイトだけではなく、大手のサイトも有害情報の氾濫を助長しており、批判を受けている。例えば、利用者が「児子(息子)」「妹妹(妹)」などのキーワードを入力して検索すると、意外にも、大量のわいせつ情報が現れるのだ。

あるユーザーは自身のブログの中で、「これまでは、アダルトサイトのリンクをクリックさえしなければネットはきれいだと思っていた。しかし、インターネット技術の発展に伴い、いまやわいせつ情報はインターネットの隅々に浸透し、あらゆる所に存在している」と慨嘆している。

本稿では、中国のインターネットで日増しに増加する違法有害情報の実際状況について、検討してみたいと思う。