ASPは代理店ビジネスに向かない
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当初は税理士事務所を代理店化し、顧客への導入を勧めてもらうつもりだった。しかし、当時すでに税理士事務所にはなんらかのソフトウェアが導入されているのが当たり前で、中小企業への紹介もあまり進まなかった。 「中小企業が領収書などをまとめて渡すと、税理士事務所が入力から処理を行う。これが当たり前の中で、税理士にとっては中小企業に自分で入力してくれとは言いづらいという問題もあった」と藤井氏は当時を振り返る。
その後、2001年に商工会が中小企業向けのIT化支援ツールとして「ネットde会計」に着目したのが、広がりのきっかけだったという。「現在でも9割くらいは商工会経由での販売になっている。ASPはサービス料金が安いため、代理店ビジネスとしては利益が少ない。ASPは代理店ビジネスには向かないことがわかった」と藤井氏は語る。
便利で低価格というのが導入のポイント
小規模で利益が少ないからビジネスの対象にされない、というのは「ネットde会計」のターゲットとなっている中小企業にもあてはまる。藤井氏は、SaaSの代表格であるセールスフォースのビジネスと自社のビジネスを比較して「セールスフォースのいう中小企業は、従業員数が20名以上の企業で、この層はソフトウェアを購入して導入する力を持っている。ビジネスオンラインがターゲットにしている中小企業は、それよりも小さい、IT化が止まっている企業」とターゲットの違いを強調する。
こうしたごく小規模な企業は潤沢な予算も持っていないため、従来のITベンダーからはターゲットにされていなかった。「本当にサポートが必要なのはこの層なのに、誰もフォローしていない、ほったらかしにされてしまっているのがこの層」と問題を指摘する藤井氏は、この層の企業の特徴として「超便利、超低価格でなければ導入しない」とも語る。
便利で低価格、という導入のポイントを実現するのがSaaSだと藤井氏は指摘する。その便利さを拡大するための取り組みは、ビジネスオンラインとしてはもちろん、SOABEX研究会でも進められている。
SOABEX研究会でSOAによるベンダー連携を目指す
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藤井氏はSOABEX研究会を、SOAを指向したASPサービスベンダーのマッチングの場として立ち上げた。プラットフォームを用意するのではなく、横の連携を強化するのが目標だ。「標準を用意して合わせなければいけない環境ではなく、1 to 1、1 to Nの連携を実現して、広げていく形をとりたい。どこかが1つ作れば、みんなで活用できるのが理想だと考えている」と藤井氏は語る。
目指すのは会計処理の全面自動化
ビジネスオンラインとしての取り組みでは、「ネットde会計」の今後の展開として、藤井氏は会計処理の全面自動化を目指すとしている。「中小企業の仕分けの9割は現預金出納で、その半分が預金出納。インターネットバンキングから直接取り込めば入力が不要になる。現金処理についても、販売データはPOSに記録されているのだからそれを自動取得できるようにすればよい。交通費なども、会計時に個人認証してデータを飛ばすようにすればよい。こういうことを実現するのが、インターネットのインフラであり、SaaSだと考えている」と語る。
藤井氏が目指すのは、インターネットで銀行の処理ができたら便利だ、という単純な動機でインターネットバンキングが広がったのと同じように、中小企業が便利さ惹かれて自然と使えるような仕組みの構築だ。そして、技術的なフォローのできる人材に乏しい中小企業向けに、商工会や税理士と一体になったサポート体制も構築したいとしている。

