IMECは1984年に設立された研究機関で、ベルギーのLeuvenにある。ベルギーのフランダース政府に支援されているその組織は、世界中の半導体関連企業と連携しており、半導体製造メーカーとしては、Intelを始め、TI、Micron、STMicroelectronics、Infineon、Philips、Samsung、TSMC、松下、エルピーダ、Hynixが参加している。ASMLは半導体露光装置メーカーとして唯一IMECに参加しており、20年以上に渡って強く連携している。

IMECのキャンパス

IMECのクリーンルーム

IMECにおける研究は、全般に産業界からの評価が高いと言われている。実際、IMECによると今年に入ってアジアの大手半導体製造メーカー2社が新たに参加したとのこと。対比されるのは日本の産学官連携の半導体製造技術開発スキームだろう。日本政府が支援し、主として国内の半導体メーカーが参加するこれらのスキームについては、必ずしもうまく行っているわけではないという評価も耳にする。例えば、日本の半導体生産技術開発コンソーシアム「Selete」のホームページには次のような記述がある「日本の半導体産業の競争力強化に貢献することが、新しいSeleteの使命となります」。このように、日本政府が実質的に日本企業の支援のために立ち上げる国内のためのプロジェクトは、IMECのようにオープンに世界的な連携を実現している研究プロジェクトと比較すると、そのスケールが一段落ちてしまう可能性も感じる。政府主導の支援プログラムといえども、そのスキームを世界レベルに広げないと、今後の国際的な競争の中で有力な結果を生み出せない可能性も感じられる。

このように、国際的に評価の高いIMECを開発パートナーに据えることで、ASML並びにCarl Zeiss SMTは、良好なフィードバックと、フォーキャストを得ることが出来ている。IMECには3台のASML製液浸露光装置と、1台のEUV露光装置が稼働しており、IMECの製造プロセス研究に使われる傍ら、ASMLにその評価がフィードバックされている。