【レポート】

経験者が考える「無痛分娩」 - 「痛みを伴ってこそ」論者も多い現実

筆者は、妊娠前から「無痛分娩で」と決めていた

以前、マイナビニュースで無痛分娩に関するアンケートをとったところ、反対派は17.0%と少数だったが、その内容が印象的だった。特に男性からの意見が衝撃的で、「痛みを伴ってこその母性」といった内容が目立った。

私は妊娠前から「出産するなら無痛分娩で」と決めていた。歯医者に行けば痛みで背面びっしょりの汗だらけ、包丁で指先を少し切っただけで絶叫……。自分は痛みに弱い人間という認識があったし、なにより、「鼻の穴からメロン」とか「会陰切開されてもそれがわからないくらい痛い」なんて話を経産婦から聞くと、とてもじゃないけれど、自然分娩を選べなかった。

夫のそのことを話すと、「うん、いいと思うよ。好きな人が痛くて苦しんでいる姿は見たくないから」という満点回答だった。

妊娠後、都内の無痛分娩で有名な病院に予約を入れた。早めに予約を入れたのだが、それでももうすぐ予約受付を打ち切るタイミングだったそうだ。無痛分娩は、普通分娩に比べると一般的に費用は高額となる。私の場合、相当な難産で心身ともにボロボロになっていたため、個室を選んだ。その個室料もあって総額80万円程度となり、出産育児一時金の直接支払制度を利用したため、自己負担金は40万円程度となった。

そう、かなりの出費なのだ。しかし、「この病院で産んでよかった~」と思える納得のお産だった。お産の進行が遅かったため、陣痛中の麻酔は何度も切られたので陣痛の痛みは経験したが、分娩室に入ってからは麻酔がマックスに効いており、全く痛みはなかった。出産直後、主治医と雑談をしていたくらいリラックスしていた。

夫も、「分娩室に入ってからは全然痛くなさそうだったので、本当によかった。純粋に感動できた」といっていた。ちなみに私の知人男性は、奥さんが出産時にものすごい形相で絶叫していて、「もう女性として見られないよ……」とつぶやいていた。だ、大丈夫かよ、今後の夫婦仲……。

個人的には大満足の無痛分娩だった。無痛分娩が理由で、子に愛情がわかないということは全くない。子への愛情や母親としての自覚は、出産時の痛みで突然生まれるものでもない。妊娠中、徐々に大きくなっていくおなかだったり、初めて胎動を感じた時だったり、出産後のわが子との初対面、腕の中ですやすやと眠っている顔…・・・・。いくらでも愛情を感じる瞬間はある。母親としての自覚も、育てていくうちに徐々に芽生えてくるのだ。

我が家には無痛分娩の相談希望者が続々

産後、我が家には「そろそろ子どもが欲しい」と思っている夫婦が何組も来るようになった。目的は皆同じ。妻が無痛分娩希望、でも夫は反対。なので、妻側が「経験者夫妻に夫を説得をしてもらいたい」と思っての訪問だ。

夫の反対理由は、「危険じゃないの? 」「無痛って自然じゃないよね」といったものに加え、やはり「痛みを経験してこその愛情……」という人もいた。

確かに無痛分娩にはリスクがあるし、その説明も病院側からきちんとされるだろう。でも、無痛じゃなくても、出産自体にはもちろんリスクがあるのだ。あと、無痛が自然じゃないというのは麻酔を使うから……というのが理由なのだろうが、「じゃあ、アナタは開腹手術のときも麻酔しないの? 」と聞いたら「それとこれとは別」という返答だった。なぜ、出産時だけこうも「自然」にこだわるのだろうか。謎だ。

「痛みを経験してこその愛情」派には、「父性はいつ生まれるの? 」と聞いたら「女性と違って、妊娠とか出産という節目がないから、子の成長を見ながら徐々に生まれてくるものでしょう」とのことだった。女性も同じだと思うのだけど……。出産した途端、「母親としての自覚が突然芽生え、母性値急上昇!! 」とはならないんじゃないだろうか。痛みで母性が生まれるのなら、分娩台の隣で麻酔ナシにどこかしら切開して縫合したら父性が生まれるかもしれないね!

夫は、「出産スタイルは、奥さんに決定権がある。出産時、男なんてそばでおろおろしているだけで何もできない。本当に無力な存在なんだ。だから、当事者である奥さんがやりたいようにしたらいいと思うよ。それに、僕は好きな人が苦しむ姿なんて見たくないからね。回避できるのなら、させてあげたい」と発言していた。

日本で無痛分娩が広まらない理由は前述のような偏見だけではなく、医療業界での様々な資源不足も大きいだろう。でも、お産のスタイルを選ぶ時、普通に無痛分娩も選択肢の1つとして考えられるようになってほしいと思う。

具体的なお産の流れについては、様々なサイトで紹介されているし、日本産科麻酔学会のサイトでもリスクやメリットなどについて語られているので参考にしてもらいたい。これから出産をする人たちが、納得のいくお産ができるとうれしい。

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