レノボ・ジャパンは2月8日、最新のThinkPadを発表した。クラムシェル型の「ThinkPad X1 Carbon」やディスプレイ回転型の2-in-1「ThinkPad X1 Yoga」などが着実な進化を遂げたが、その中で筆者が注目したのは新たに加わった「シルバー色」の存在だ。

「ThinkPad=黒」の定説を打ち破る

ThinkPadシリーズのアイデンティティといえば、「黒いボディ」に「赤いアクセント」という組み合わせだ。レノボ・ジャパン コマーシャル製品事業部 コマーシャルノートブック・タブレット担当の吉原 敦子氏も「ThinkPadといえば黒というのは通説であり、伝説だ」と断言する。だが今回、レノボは掌を返すようにシルバー色のモデルを追加したのだ。

「ThinkPad X1 Yoga」のシルバーモデル

天板や底面もシルバーで、がらりとイメージが変わった

実のところ、「シルバーThinkPad」は初めてではない。ダークグレーなどを含めれば、過去にいくつかのモデルを発売してきたのだが、ラインナップとして定着できずにいたのだ。ではなぜ再びシルバー色に挑戦したのか。

理由は「法人ユーザーがPCを購入する際の要件として、黒はNGという場合が出てきている」というものだ。「黒いPCがコーポレートカラーにそぐわない」という時代にあわせた仕様であり、レノボはこうした法人ユーザーが求める要件に応える姿勢を続けている。

例えばThinkPadのヘビーユーザーには「トラックポイントがあればトラックパッドは不要」と言う人が少なからずいるのだが、会社支給PCとして利用する多くの従業員にとっては、他社のノートPCと同じ感覚で使えるトラックパッドを必要とする。そのため、頑なにトラックポイントを搭載しつつも、トラックパッドとあわせて両方搭載することが当たり前になっている。

シルバーは「1割」でも、やたらと目立つ1割に?

ThinkPad X1 Carbonと同Yogaのシルバー色は、レノボのWeb直販サイトで販売される予定だが、「9割のユーザーが従来通りのブラックを選ぶのではないか」とレノボは予想する。

レノボは「需要の9割はブラックに集中する」と予測する

だが、シルバー色の存在は大きな波及効果を生むと筆者は予測する。マイクロソフトが「ワークスタイル変革」に取り組んで久しいが、レノボも働き方改革の流れに賛同している。ビジネスの現場でこの流れが定着すれば、ノートPCをカフェや図書館、シェアオフィスなどに持ち出す機会が増えることに繋がる。

現時点でこうした環境は、MacBookやSurfaceに埋め尽くされており、その多くがシルバー色で占められている。いかにも事務機器然としたデザイン、そして「黒」は消費者目線に近づくほど敬遠されがちであり、生活空間に溶け込む佇まいが求められることになる。

シルバー色のThinkPadは、台数ベースで「たった1割」かもしれないが、さまざまなワークスペースでよく見かけるようになる「1割」になるかもしれない。

Windows 7対応モデルも発売予定

法人向けPCとして見た時、新モデルでもう一つ注目すべきポイントがCPUだ。インテルの最新CPU「第7世代Coreプロセッサー」では、サポートされるOSがWindows 10に限定される。現時点で第7世代搭載PCの場合でも、Windows 7をインストールして動作するケースがあるようだが、インテルとマイクロソフトが正式サポートしない以上は「業務用として利用できない」と考えるのが正しい。

そこで重要になるのが「第6世代Coreプロセッサー」モデルの存在だ。レノボ・ジャパンはThinkPad X1 Carbonなど一部の製品で、この第6世代Core搭載モデルを提供する予定があると明らかにした。

一時期は、第6世代CoreプロセッサーでもWindows 7のサポートが縮小されるという方針が出されていた。だが現在は撤回されており、Windows 7のサポート期限である2020年まで利用できる見込みだ。当面の間、Windows 7を使い続ける予定がある場合には、こうしたPCを確保しておくのも一つの手と言える。