データの成長がオブジェクトストレージを必要とする

「なぜ今、オブジェクトストレージなのか」という問いに答えるには(データを格納するストレージの使い方において何が変わったのか」について、あらためて問いかけてみる必要があります。そして、その問いに対するシンプルで明白な答えは「データの成長」です。

昨今、データ量が飛躍的に増加していることはご承知の通りで、さまざまな市場予測などで目にしていると思います。そのような世界において、なぜオブジェクトストレージが必要なのでしょうか。オブジェクトストレージは結局のところ、すべてのストレージに関連する課題を解決できる製品ではありません。

しかし、地球上で最大のデータストアをホストしている、すべてのパブリッククラウドがオブジェクトストレージを採用している明確な理由はいくつかあります。主な3つの理由として、1つ目は「SANやNASなどの従来のストレージの何分の1かのコストである」、2番目は「無限に拡張可能である」、3番目は「パブリッククラウドと同様に本質的に使いやすい」です。

そして「なぜ今、オブジェクトストレージなのか」に答えるもう1つの方法は、新しいデータのソースを見ることです。モバイルデータ、マシンデータ、科学的な研究データなどが爆発的に増加したことはよく知られています。しかし、新しいソースは常に登場しています。

例えば、世界的に直面しているコロナ禍のリモートワーカーは、オンラインコラボレーション、Office 365チームのワークロード、Zoom録画などにより、爆発的な量の非構造化データを作成していますが、これは半年前には考えられなかった新しいデータソースです。

また、リモートワーカーを抱える企業にとって、オブジェクトストレージは、オンサイトのオペレーターをほとんど、あるいは全く必要としない、実質的にハンズフリーの操作を提供します。過去6カ月間、リモートワーカーがデータに安全にアクセスし、自宅から操作できるように十分な準備をしていた企業は、そうでない企業よりもはるかに優れた運用を継続し、収益を上げることができました。

さらに見方を変えると、企業がそもそもデータを保持している本当の理由は、そこにさまざまなユースケースがあるからです。そして、この観点から質問に答えるのが、最も興味深いと思います。例えば、AWSのような大規模なパブリッククラウド「ハイパースケーラー」のように、多くのサービスプロバイダはBackUp-as-a-Service、DR-as-a-Service、Archive-as-a-Serviceなど、オブジェクトストレージをベースとしたストレージサービスをクライアントに提供しています。

そして、大企業の多くはオブジェクトストレージをベースにしたプライベートまたはハイブリッドクラウドをすでに採用しているか、または採用を計画しています。

メディア企業は、パブリックネットワークで送信するには大きすぎるファイルを抱えていて、世界最大級のエンタープライズ・オブジェクトストレージ・ユーザーです。大規模な流通、消費者、ヘルスケア、教育機関、製造業、政府機関の多くはプライベートなクラウド環境として、オブジェクトストレージを積極的に採用するようになっています。その主な理由は、セキュリティ、コスト、パフォーマンスの3つが挙げられます。

オブジェクトストレージベースのプライベートクラウドのもう1つの利点は、ストレージと帯域幅の増加の間で増大するギャップを緩和するのに役立つことです。データを転送するための帯域幅を増やすよりも、データ量を増やす方がはるかに簡単になりました。

  • なぜ、いまオブジェクトストレージなのか 第2回

毎日約400万台のスマートフォンが作成され、それぞれが膨大な量のビデオや写真データを作成することができます。しかし、帯域幅を増やすのはもっと大変で、敷地を確保したり、穴を掘ったり、ケーブルを敷いたりする必要があります。

中央集権型システムから分散型モデルへ

これらのハイブリッドまたはプライベート環境への変化は、2005年から2020年にかけて、モバイルデータを中心とした「中央集権型」システムから、データが「エッジ」の近くにとどまる「分散型」モデルへと進化していくことを示しています。データ量が爆発的に増加しているのと同時に、かつては重いコンピュータやオペレーティング・システムに縛られていたコンピュート・コードもコンテナ化され、完全にポータブル化されています。

実際、最も魅力的なオブジェクトストレージのユースケースは、まさにエッジ周辺のユースケースです。これらのユースケースの中には、ここ日本で起こっている最先端のものもありますが、単にコスト効率や運用効率の高いストレージ・プラットフォームを選択するだけではなく、これまで不可能だったユースケースを可能にする手段としてオブジェクト・ストレージを採用しているのです。

例えば、SparkとTensorflowをオンボードで実行するオブジェクトストレージノードを展開し、同時にS3データレイクをPrestoとElasticのクエリと検索で有効にすることで、非常に費用対効果が高く、強力で展開しやすい高度なアナリティクスプラットフォームを提供します。

オブジェクトストレージの使用は、データそのものの成長と同じくらいの速さで成長しています。特に、非構造化データのような最も急速に成長しているデータソースを保存する最良の方法であると同時に、企業がデータを使って何かをしたい場合に最適な方法だからです。

よく、オブジェクトストレージはスケールアウトされたデータストレージの未来だと言われますが、現在のデータの成長を考えると、今がまさにそうなのか!とも言えます。