海外の軍事関連ニュースを見ていると、ときどき遭遇する言葉が “enabler”。意味は辞書通りで、「○○を可能にするもの」という意味になる。もちろん、米軍が推進している新しい戦闘概念「JADC2(Joint All Domain Command and Control)」にも3つのイネーブラが存在する。今回は、小型化と分散化に関わるJADC2のイネーブラを紹介しよう。

  • 「JADC2(Joint All Domain Command and Control)」のアプローチ 資料:DoD

通信

小型化・分散化とネットワーク化は不可分の関係にあるから、当然ながら通信はJADC2のイネーブラとなる。もっとも、軍事の世界ではもともと、通信は重要なものと見なされているし、その延長線上でNCW(Network Centric Warfare、ネットワーク中心戦)という言葉もあった。ただ、以前からあったネットワーク化の考え方からさらに踏み込もうとすると通信の重みが増す、という話にはなる。

もちろん、妨害に強く高い伝送能力を発揮できる通信技術を実現することは重要だが、それだけに頼ってよいのか、という話も出てくる。あるネットワークが使えなくなったとしても、代替手段を用意して途絶を防がなければ、というわけだ。

そこで、米国防高等研究計画局(DARPA : Defense Advanced Research Projects Agency)が2010年代の半ばから走らせている研究プログラムが、「DyNAMO(Dynamic Network Adaptation for Mission Optimization)」。強引に日本語にすると、「任務最適化のために、動的に適応できるネットワーク」ぐらいの意味になろうか。

これだけでは判じ物みたいだが、「陸・海・空といった、あらゆる戦闘空間にまたがるネットワークを動的に構成する」「あるネットワークが使えなくなっても、別のネットワークで代替経路を構成する」と説明すれば理解しやすくなるだろうか。なにやらARPANETの話が出た頃を思い起こさせる展開だが。

この記事は
Members+会員の方のみ御覧いただけます

ログイン/会員登録(無料)

会員サービスの詳細はこちら