どこでもサイエンス恒例の宇宙備忘録。予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる、楽しめる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は、平成最後の年2019年1~2月分をば。盛りだくさんです。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ここではとても書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいからDVD・ソフトつきで3000円くらいまでですね。それぞれの特徴は、最後にまとめておきました。

1月~2月

1月6日午前 日食!

2019年は日本で2回日食が見られます。1回目がいきなり松の内の6日。午前中です。太陽が欠けていく様子が日本全国で見られます。なお、コロナが見える皆既日食や金環日食になる場所は、世界中どこにもありません。

場所によって日食に起こる時間は違います。北海道と東京と沖縄の3か所での時刻をご紹介。北ほど長く日食が見られます。自分の場所のより正確な予報を確かめたい方は、国立天文台のWenサイトを利用するといいですよ。

日食が始まる時刻

  • 札幌:8時47分
  • 東京:8時44分
  • 那覇:8時50分

一番欠ける時刻

  • 札幌:10時13分
  • 東京:10時6分
  • 那覇:9時39分

日食が終わる時刻

  • 札幌:11時47分
  • 東京:11時37分
  • 那覇:10時33分

1~2月ならずっと冬の星の星は見ごたえありです。

日食と違っていつでもOKってのがいいところ。冬の星はイイ! ホントーに毎年書いていますね

特にカラフルなのがよいのですが、双眼鏡で見ると際立ちます。持っていたらぜひ星に向けてみてください。また、最近のスマホは適当に写しても星が写ってしまうものが増えてきています。高級なスマホを最近買った方。星もダメ元で写してみてくださいね。

早起きすると、金星と木星の接近が見られる

このところ、明け方にスゴク明るい金星が見えています。圧倒的な輝きなのですぐにわかるはず。さらに、やはり明るい木星も見えていて、1月22日と2月19日には金星と木星が並び立ちます。なかなかの見ものなのですが、寒い時期の早起きが必要でございますー。

ロケット&宇宙機関係

1月17日に、日本のイプシロンロケット4号機の打ち上げが予定されています。なんでも「革新的衛星技術実証プログラム」とやらで、大学や民間企業が開発した小型人工衛星などが、イプシロンに乗せられて多数同時に宇宙へと向かうとのことです。日本が誇りはやぶさも打ち上げた世界最大の固体燃料ロケットM-Vが中止になった後、なんとか残した技術の芽イプシロンロケット。着実に成果をあげてほしいものですなー。

なお、米国では1月7日に、あのZOZOの前澤社長の月旅行を請け負ったことで有名になったスペースXが、ファルコン9ロケットを使い、有人宇宙船クルー・ドラゴンの打ち上げテストを行います。

今回は無人です。6月には本番の有人打ち上げとなります。スペースシャトルが退役して以来、世界で有人宇宙船はロシアのソユーズと中国の神舟だけという状況でしたが、ようやく米国が、しかも民間企業によって復帰になりそうです。ちなみにボーイングも3月にCST-100 スターリフタ―という同様な宇宙船のテストを行う予定になっております。

1月30日は、インドのチャンドラヤーン2が、月に向かいます。国産ロケットGSLV-MkIIを使い、月着陸と無人自動車(ローバー)の運用を狙います。中国に続いてインドも月に一歩を記すわけですなー。また、スペースXが、やはり1月にイスラエルの無人月着陸機SPACEILの打ち上げをアナウンスしていますが、現時点で詳細未定でございます。

日本もSLIMという計画がありますが、だいぶ遅れています。

2月に、日本の小惑星探査機はやぶさ2が、小惑星リュウグウへの着陸を敢行するはずです。昨年6月に到着して以来、着陸地点を探していたのですが、正直、どこも岩だらけで危険。でも、着陸しないとそれが特徴のはやぶさ2の意味がないですからね。

詳しいスケジュールは、JAXAのはやぶさ2サイトを時々チェック。タイミングさえあえば、この連載でもご紹介しますねー。

書名 URL 特徴 価格
天文手帳 http://www.chijinshokan.co.jp/Books/ISBN978-4-8052-0924-0.htm 手のひらサイズの手帳に、小さな字で毎日の月の出入り時刻や見所など星空情報がぎっしり。ミニ星座早見もついています 1040円+税
天文年鑑 http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5969 天文年鑑のスタンダード。星空情報のほか、各種のデータが豊富。天体観測を趣味とする人向けの編集。ハンディサイズ 1000円+税
藤井旭の天文年鑑 http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5986 天文年鑑の初心者向けバージョン。かなりのマニアも「こっちがお手軽だから」といって使う場合もあり。毎月の星空情報を中心に、観測のしかたなども紹介。ハンディサイズ 800円+税
ASTROGUIDE星空年鑑 https://www.astroarts.co.jp/products/ag2019/ DVDビデオ・PC&MAC用ソフト付きのムック、大判かつカラー版。登録をするとタブレットなどで見られる毎月の星空紹介ページももらえる 2700円(税込)
天体観測手帳 http://gihyo.jp/book/2018/978-4-7741-9871-2 基本は手帳で、それに天体観測のためのデータとガイドが載っている。カラー図をたくさんという体裁。小型望遠鏡までで見やすい現象、トピックが紹介されている。カレンダーが2年分がポイント 1280円+税
太陽・月・星のこよみ http://www.gekkou.or.jp/publications/ 大判の月めくりのカレンダー。毎日の月の形や、天体現象などが記載。大手書店のカレンダーコーナーや科学博物館のショップなどにもあることあり 1400円(税込)+送料
書店版は月の位相図ポスター付で2000円
星空ごよみ365日 https://hoshinotechou.jp/ 卓上サイズの日めくりタイプのカレンダー、星の情報付きです。毎日の夜8時の空の様子が描かれ、トピックスも掲載。発行9年目なんだそうですが、昨年まで見落としてましたー 1200円+税
ASTRONOMY-SPACE TEST 2019 CALENDAR http://www.kouseisha.com/book/b377972.html カレンダーということでもう1つ。これまた星空宇宙情報が書かれたカレンダーです。A4サイズ×見開きです。「宇宙天文検定」(というのがあるんですなー)のテキストを発行している会社が作っているので、こんな名前になっています 1700円+税

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。