どこでもサイエンスの半年ごとの恒例。「宇宙、どうでしょう?」でございます。宇宙に関することといえば、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる」宇宙に関わるあれこれを、ホイホイと紹介でございます。今回は、ネタ満載につき、下半期というか夏休みの7・8月号にいたします。

なお、天文現象を一年分紹介している年鑑の類が、毎年刊行されています。ここではとても書き切れない内容がいっぱい。手帳タイプの1000円くらいから月替わりのカレンダータイプ、そしてDVD・ソフトつきムックで3000円くらいまでですね。前回の「宇宙、どうでしょう(中編)」の記事にまとめてありますので必要に応じてご参照あれ。

7月

2018年7月は、宇宙ネタ山盛りィ! 大ネタの「15年ぶりの火星大接近」とか、「皆既月食」もあります。うわあ。睡眠時間の確保がポイントでございます。

今年の夏は、都会でも、星空がにぎやかですよー

星空がにぎやかというと、明るい星「1等星が7つ」ある冬。というのが定番です。

それに対し「夏は4つ」なのですが、今年はちょっと様子が違います。夕方に通常の1等星の100倍明るい金星。夜に同じく40倍の木星と火星、さらに3倍ほどの土星と4つの明るい惑星があり、冬を凌駕する8つとなっています。「ステラナビゲータ」というソフトで、東京、大阪クラスの大都市中心での七夕の夕方の空を比較してみますとこんな感じ。丸いのは、空全体を表しています。

金星が、メッチャ明るく、よく見えてますよー!(7月16日は三日月とランデブー)

今年の図の、右の端っこにあるのが、金星です。図では地味ですが、夕方の"西"の空に、やったら明るい星があるでしょ。あれが金星でございます。

また、7月16日には、三日月とランデブーです。思わず撮影したくなると思いますよ。夜8時ごろがみごろですねー。

ちなみに、明るい星といえば、夜に「南の空」なら、木星。夜半に「東の空でオレンジ」なら火星です。明るい星が多すぎて、分かりにくいなんて、なんとも贅沢な悩みでございます。

はやぶさ2探査機が躍動しはじめてます。

まず、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」です。6月27日(執筆時点では予定)に目標天体リュウグウに到着。前後から盛んに探査をしています。一枚一枚の映像、測定値が炭素成分多いC型小惑星の「史上初のデータ」です。科学者の商品(論文)のネタですので、さて、どこまで公開されるでしょうか。期待したいですねー。

全国同時七夕講演会

7月7日は七夕です。この東アジアの文化(元祖の中国のみならず隣接するベトナムなどでも七夕を祝う習慣はあるそうです。これを使って、日本天文学会が…、あ、ホントーに"プロの学術研究団体の"日本天文学会が「全国同時七夕講演会」というのを全国各地で開催します。

7月7日だけでなく前後の日や、8月にも行われます。内容も、宇宙論から惑星探査、ロケット開発から身近な天体観察までマチマチ。場所も、ホントーに思わぬ場所でもやるので、チェックしてみてくださいねー。私もネタさがし&コネづくりに、どこかの会場にいる予定でございますー。

7月27(金)・28日(土)! 恒例のJAXA・神奈川相模原キャンパスの一般公開

毎年楽しみー という人も多いですよね、はやぶさ2の最新ネタも見られるんじゃないかなー。

遠来の方は、JR新幹線・新横浜から、横浜線で八王子方面。淵野辺下車+バス。詳しくは、公式サイトを。

隣にある、相模原市博物館(プラネタリウムあり)や、国立映画アーカイブ 相模原分館も、一緒にイベントするようなので、楽しみですなー。

7月28日の早朝に皆既月食(朝4時半すぎ! その時でないとみられません!)

28日の「未明」に皆既月食です。赤い月が見えますよー。

またこれだけで詳しくご紹介しますね。

とりあえず、国立天文台のサイトの紹介を貼っておきます。

国立天文台 皆既月食(2018年7月28日)

7月31日に火星大接近(この日以外、前後2か月は楽しめますよー)

15年ぶりの火星の大接近でございます。火星についてはちょっと前にご紹介しましたが、これまたちかぢかご紹介(紹介することが多いな、おい)しますねー。

ロケット打ち上げなど

アメリカのファルコン、デルタVIヘビー、中国の長征、インドのGSLV・PSLVなどが相次いでロケット打ち上げを予定しています。

8月

8月4日、アメリカNASAの太陽観測衛星パーカー・ソーラー・プローブの打ち上げ。

太陽に700万km、太陽直径の5倍まで接近して調べるという、アッチッチなミッションでございます。これは、太陽の外層大気まで達します。太陽に肉薄するはじめてのミッションです。11cm厚の炭素複合素材の断熱シールドを全面に張り付けているそうです

ちなみに、太陽に一番近づくときは、太陽の引力により加速され、時速70万kmに達するとのことです。秒速だと190kmですねー。

ちなみに、パーカーは、アメリカの太陽研究者ユージン・ニューマン・パーカー(1927年~)にちなんでいるそうです。

8月4・5日、東京大学木曽観測所(長野県・木曽)特別公開

長野ですが、名古屋からアプローチしやすい、木曽です。国内最大のシュミットカメラがある施設の公開になりますよ。隣接する名古屋大学の施設もあわせて公開。講演会は2日連続で重力波のお話が聞けます!

8月12~13日、ペルセウス座流星群の活動がピーク

流れ星が、平均の10倍流れるという、ペルセウス座流星群。今年は13日の午前中がピークですので、12日の夜中すぎに観察するのがベストとなりそうです。なにしろ、肉眼で手軽に観察できます。過去の連載の内容がそのまま使えますので貼っておきますね。

ご参考:どこでもサイエンス 第2回 「8月12日と13日の夜はペルセウス座流星群を観察しよう」

8月18日、金星が「東方最大離角」

はい、7月にすごく見やすい金星が、いちばん見やすい時期のめやすでございます。9月以降は一気に観察しにくくなっていきますが、まあ、夏休み中は大丈夫でございますよ。

8月25日、国立天文台・長野・野辺山宇宙電波観測所 特別公開

年に1度の特別公開です。いつも公開されてはいるのですが、この日は講演会があったり、大学院生が趣向をこらした展示をつくったり、かなり楽しめます。生の天文学者と話もできると思いますよー。

おっと、8月まででここまで来てしまいました。9月以降は次の号にしますねー。いや、はやぶさ2もあるし、うん、できるだけ早くにいたします。はい。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。