Xilinxの日本法人であるザイリンクスは2019年1月16日から18日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている、自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における先端テーマの最新技術が一堂に介する展示会「オートモーティブ ワールド 2019」において、ADASならびに自動運転に向けたFPGAの優位性をアピールするデモ展示などを行っている。
自動運転や、安心・安全な走行の実現には、イメージセンサやLiDAR、レーダーなどのさまざまなセンサを複数組み合わせて、その情報を総合的に処理する能力が求められる。そうした分野を中心にFPGAの採用が進んでおり、2018年までにADAS向けだけで累計5600万ユニット以上の出荷を達成。自動車分野全体としても1億6100万ユニット以上の出荷実績があるという。
次世代のセーフティを実現するのに欠かせないフロントカメラは、ADASの進化に併せて、要求される性能が高まってきており、2022年ころには、8Mピクセル以上の画素や4K対応、4Mピクセル以上を8ch同時処理など、といった複雑かつ高い性能が要求される見通しで、そうした各種のセンサからのデータを処理する「Data Aggregation Pre-processing and Distribution Device(DAPD)」を経て、ディープラーニングを活用した推論を行う「Compute Accelerator」にて実際の処理が行われることになるが、DAPD部では、車種ごとにさまざまなセンサがどの程度接続されるのかが異なるため、それぞれの仕様に見合ったハードウェアを構築する必要がある。こうした多岐にわたるハードウェアニーズに対応するのに回路を用途に応じて変更できるFPGAは最適であるというのが同社の主張するところだ。
「コストと電力の両立が図れ、かつ求められる低レイテンシでの処理ができるのがFPGAのメリット」と、ブースにて説明を行ってくれた同社オートモーティブビジネスユニット、オートモーティブストラテジー担当ディレクターであるダニエル・アイザック氏は語る。
実際、同社のブースでは、同社が2018年7月に買収したDeePhi Techの開発したディープラーニングによる車載向けAIのデモが現行世代となるZynq UltraScale+ MPSoCを用いて行われていたが、それをパートナーであるNECが開発したZynq 7000世代を搭載したボードでもフレームレートが多少落ちるものの、動作できることなども示されており、スケーラビリティやコストなど、カスタマが気にするであろう部分に配慮したソリューションの紹介が行われていた。
また、FPGAの回路構成を動的に切り替えることで、複数の用途に対応可能な「Dynamic Function eXcahnge(DFX)」によるフロントカメラとリアカメラのリアルタイム切り替えデモや、HMIのGUIをFPGAに搭載されたGPU(ArmのMali)を用いて開発できる開発ツールの紹介なども行われていた。
このほか、同社ブースではザイロン(Xylon)の第5世代360°サラウンドビューADASソリューションや、ソニーの7.4Mピクセルイメージセンサを、Xylonが開発したMaxim Integratedの次世代ギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL)を搭載した6chカメラ入力メザニンカードを介して高コントラストな映像を表示するデモなども行われている。
Xylonの第5世代ADASソリューションは、サラウンドビューに用いられる複数のカメラでばらつく輝度を均等化したり、隣接したカメラ領域の重なり部分でひずんだり、隠れてしまったりする物体を、スティッチングラインの動的な変更で可視化したり、カメラの端では縦に伸びてしまう映像を均等の大きさに補正するといったことが可能となっており、リアルさにより磨きがかかったものとなっていた。