前回の連載では「ピボットグラフの基本的な使い方」を紹介した。その続編として、今回はフィルターやスライサー、タイムラインといった機能の使い方を紹介していこう。また、集計方法を「平均」などに変更したり、グラフをカスタマイズしたりする方法にも触れておく。ピボットグラフを効果的に活用するために、ぜひ使い方を学んでおこう。
フィルターでグラフ化するデータを限定する
前回の連載では、軸(分類項目)や凡例(系列)にフィールドを配置してピボットグラフを作成する方法を紹介した。今回はその続編として、必要なデータだけを抽出してグラフを作成する方法などを紹介していこう。
最初に紹介するのは「フィルター」と呼ばれる機能だ。この機能を使うと、「指定した条件」に合致するデータだけを抽出してピボットグラフを作成できるようになる。具体的な例を見た方が分かりやすいと思うので、さっそく操作手順を紹介していこう。
まずは、フィルターとして機能させるフィールドを指定する。たとえば、マスクの「色」を条件にしたい場合は、「色」のフィールドを「フィルター」の領域にドラッグ&ドロップする。
すると、ピボットグラフの左上に「条件を指定するためのボタン」が表示される。今回の例では「色▼」というボタンが追加されているのを確認できるはずだ。
このボタンをクリックすると、「色」を条件にグラフ化するデータを限定できるようになる。たとえば、マスクの色が「白」のデータだけをグラフ化したい場合は、「白」を選択してから「OK」ボタンをクリックすればよい。
ピボットグラフが再描画され、色が「白」のデータだけを集計したグラフに変更される。
今回の例では、先ほど(色を「白」に限定する前)と似たようなグラフが描画されているが、よく見ると若干の違いがあることに気付くはずだ。
・色を限定していないグラフ
「6月」の売上が最も大きい
・色を「白」に限定したグラフ
「4月」の売上が最も大きい
「4月」と「6月」を比較してみよう。全体的な売上は「6月」の方が大きいのに、色を「白」に限定すると「4月」の方が売上が大きくなる。これらの結果をふまえると、「6月」は「白」のマスクの売上が少し減少しているが、それ以上に「他の色」のマスクの売上が伸びている、といこうとを把握できる。
フィルターを使って「白」と「黒」以外のように、少し複雑な条件を指定することも可能だ。この場合は「複数のアイテムを選択」をONにする。すると、各項目がチェックボックス形式になり、複数の項目を同時に選択できるようになる。
さらに、別のフィールドを「フィルター」に追加することも可能となっている。この操作も「フィルター」の領域にフィールドをドラッグ&ドロップするだけで実行できる。
上図のように「サイズ」のフィールドをフィルターに追加すると、「色」だけでなく「サイズ」も条件として指定できるようになる。よって、より多角的な分析を行えるようになる。
このように条件を色々と変更しながら、データ推移をグラフで確認できるのがピボットグラフの利点となる。さまざまな角度からデータを分析したいときに役立つ機能といえるだろう。
スライサーとタイムライン
フィルターではなく、「スライサー」や「タイムライン」を使ってグラフ化するデータを限定する方法も用意されている。今度は、軸に「月」と「タイプ」、凡例に「サイズ」を配置したピボットグラフを例に操作手順を解説していこう。
「スライサー」を使ってデータを限定するときは、「ピボットグラフ分析」タブにある「スライサーの挿入」をクリックする。続いて、条件の指定に使用するフィールドを選択し、「OK」ボタンをクリックする。
すると、指定したフィールドのスライサーが表示され、ボタンひとつで条件の指定/解除が行えるようになる。たとえば「通常」と「M」のボタンをクリックすると、「通常」タイプで「M」サイズのマスクについてのみ、売上の推移をグラフ化できる。
こちらも、複数のアイテムを同時に指定することが可能だ。この場合は、以下の図に示したアイコンをONにしてから、各フィールドの条件を指定していけばよい。以下の図の場合、タイプが「通常」または「立体」で、サイズが「L」または「M」のデータだけがグラフ化されることになる。
条件を解除するときは、以下の図に示したアイコンをクリックする。すると、各フィールドに指定されていた条件が解除され、全データを対象にグラフが再描画される。
なお、ワークシート上に表示されたスライサーそのものを削除したいときは、スライサーをクリックして選択し、「Delete」キーを押せばよい。
「受注日」のように日付データが入力されているフィールドを条件にデータを限定するときは、「タイムラインの挿入」を利用するのが便利だ。
タイムラインを表示すると、グラフ化する期間をスライダーで自由に指定できるようになる。以下に示した図の場合、5月~6月のデータだけがグラフ化されることになる。
「月」ではなく「日」で期間を指定することも可能だ。この場合は、単位を「日」に変更してからスライダーで期間を指定すればよい。以下の図の場合、4月1日~4月7日の1週間についてのみ、データがグラフ化されることになる。
集計方法を平均などに変更するには?
ピボットグラフは、「値」に配置したフィールドの数値を合計したグラフを作成するように初期設定されている。とはいえ、状況によっては「合計」ではなく「平均」や「データの個数」などで集計した結果をグラフ化したい場合もあるだろう。
この場合は、「値」に配置したフィールドの▼をクリックし、「値フィールドの設定」を選択する。
下図のような設定画面が表示されるので、ここで「合計」以外の集計方法を選択すると、「平均」や「データの個数」などで集計した結果をグラフ化することが可能となる。
「合計」以外の集計方法を利用する機会は滅多にないかもしれないが、このような設定項目が用意されていることも覚えておくと、いずれ役に立つだろう。
その他、グラフのカスタマイズ
「ピボットグラフ」も「通常のグラフ」と同じようにカスタマイズを施していくことが可能だ。これについては過去の連載で詳しく解説しているので、そちらを参照して頂ければ幸いだ。ここでは簡単な例をいくつか紹介しておこう。
データ推移の大まかな傾向だけでなく、詳細な数値もグラフに示したい場合は「データ ラベル」を表示するのが効果的だ。その操作手順は「グラフ要素」をクリックして「データ ラベル」をONにするだけ。
グラフ内の文字が小さくて見にくい場合は、「ホーム」タブで書式を変更しても構わない。こちらも各要素をクリックして選択し、「ホーム」タブで書式を指定するだけなので、通常のグラフと同じ操作手順になる。
そのほか、書式設定の画面を呼び出して設定を変更することも可能である。この場合は、各要素を右クリックして「☆☆の書式設定」を選択する。
すると、「ピボットグラフのフィールド」の左側に「☆☆の書式設定」が表示される。あとは通常のグラフと同じ手順で、それぞれの書式を指定していけばよい。ここで各要素に表示される文字(数値)の表示形式を指定することも可能だ。
グラフ化するデータが売上金額などの場合、表示形式を「通貨」に変更しておくと、「¥記号」と「桁区切り」が付いた形で数値が表示されるようになる。
このように、過去の連載で紹介してきた「グラフのカスタマイズ」をピボットグラフで活用することも可能だ。データ分析をExcelで行う際に、ピボットグラフは欠かせない機能の一つとなる。この機会に使い方をよく研究しておくとよいだろう。