Bitdefenderの研究チームは、GhostMap: The Android flaw that crashes your phone before you open the appにおいて、Androidのアプリケーションパッケージ(APK)の処理に問題があり、細工されたファイルによってシステムの重要なプロセスを異常終了させられることを明らかにした。

この脆弱性は「GhostMap」と名付けられ、Android 10以降のバージョンに影響するという。研究チームは、Android 17を搭載したGoogle Pixel 10でも問題を再現している。

  • Androidに、細工されたアプリによって端末が正常に動作しなくなる脆弱性が報告された(画像はイメージ Photo:PIXTA)

    Androidに、細工されたアプリによって端末が正常に動作しなくなる脆弱性が報告された(画像はイメージ Photo:PIXTA)

アプリを開かなくても端末が使用不能に、初期化が必要になる場合も

GhostMapの特徴は、利用者がアプリを起動したり、特別な権限を許可したりする必要がない点。

研究チームが作成した実証用アプリには、実行可能なプログラムコードが含まれておらず、権限も要求しない。しかし、このアプリをインストールすると、Androidのシステムプロセスが異常終了し、再起動を繰り返す状態に陥った。

Androidの重要な処理を担う「system_server」が細工されたファイルを読み込むと異常終了し、システムによって再起動される。しかし、再起動後も同じファイルを読み込むため、異常終了が繰り返され、端末が正常に起動できなくなる。

研究チームの検証では、通常モードだけでなくセーフモードでも問題が解消されなかった。ファイル管理アプリなども、問題のファイルを読み込もうとすると異常終了するため、原因となるアプリを通常の操作で削除することも難しいという。

復旧には端末の初期化が必要になる場合があり、その場合は端末内に保存されたデータが失われる恐れがある。

USBデバッグを事前に有効にしていれば、パソコンからAndroid Debug Bridge(ADB)を使用して問題のファイルを削除できる場合もある。ただし、利用できる状況は限られ、確実な復旧手段ではない。

原因はAPKファイルの処理、Android 17でも再現

GhostMapの原因は、AndroidがAPKファイルに含まれるデータを処理する際、複数のシステムライブラリで検証方法が異なっていることにある。

APKファイルはZIP形式を基にしており、内部にはファイルの圧縮方式や展開後のサイズなどの情報が格納されている。

Bitdefenderによると、Androidの「libziparchive」と「libandroidfw」は、こうした情報を異なる方法で検証しているという。攻撃者が圧縮方式やファイルサイズの情報を細工すると、実際のファイルサイズを超える領域をシステムに読み込ませることができる。

その結果、不正なメモリ領域へのアクセスが発生し、ファイルを処理したプロセスが異常終了する。これがAndroidの重要なシステムプロセスで発生すると、再起動を繰り返す原因となる。

研究チームがこの問題を発見したきっかけは、銀行を標的とする不正アプリの分析だった。2026年8月、分析用のAndroidエミュレーターが繰り返し停止する現象を調査したところ、Android側のファイル処理に問題があることが判明したという。

その後、研究チームは脆弱性を悪用する実証用アプリを作成し、Android 17を搭載したPixel 10などで検証を実施した。

なお、実際に発見された不正アプリが、端末を継続的な再起動状態に陥らせる攻撃に使用されていたわけではない。持続的な再起動ループは研究チームによる実証で確認されたものであり、現時点で同様の攻撃が実際に行われたとの報告はない。

Googleはセキュリティ更新の対象外と判断、現時点での対策は?

Bitdefenderは2026年8月20日、Googleの脆弱性報告プログラムを通じて問題を報告した。しかし、最初の報告は再現できないとして対応が行われず終了した。

同月25日には、実証コードと再現手順を添えて改めて報告したものの、Googleはセキュリティアップデートによる修正の対象範囲外と判断したという。

一方、Googleは関連する開発チームに情報を共有し、将来のバージョンアップデートでの対応を検討するよう依頼したとされる。現時点で修正プログラムの提供時期は明らかになっていない。

GhostMapは、細工されたアプリをインストールすることが攻撃の前提となる。そのため、利用者は提供元が不明なAPKファイルのインストールを避け、信頼できる配布元からアプリを入手することが重要となる。

また、端末の初期化が必要になった場合に備え、写真や重要なファイルなどを定期的にバックアップしておくことも対策の一つとなる。

Bitdefenderは、端末を使用不能にする攻撃のほか、アプリの削除を妨害したり、セキュリティ製品の検査処理を停止させたりする悪用の可能性も指摘している。