角川アスキー総合研究所、道南バス、WILLER ACROSSの3社は11月2日、データを活用したバス需要予測に関する共同研究を開始したと発表した。

道南バスの運行エリアを実証フィールドとし、運行・予約データと観光統計などの公開データを組み合わせる。路線ごとの需要を数カ月先まで予測するモデルの構築に取り組み、観光需要の取り込みと生活路線の維持につなげる。共同研究は11月1日に開始した。

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運行・予約データと公開データを組み合わせ、数カ月先のバス需要を予測

今回の共同研究では、北海道の道南バス運行エリアを実証フィールドとする。道南バスとWILLER ACROSSが保有する運行・予約データに、角川アスキー総合研究所が収集・解析する観光統計などの公開データを組み合わせる。これらのデータから、路線ごとの需要を数カ月先まで予測するモデルの構築を目指す。

研究の背景には、地域交通を取り巻く環境の変化がある。人口減少や乗務員不足によって、生活路線の維持や持続可能な運行体制の確保が課題となっている。一方、インバウンドを含む観光需要の拡大は、バス事業者にとって収益機会となる。

ただし、観光需要を事前に把握することは難しい。需要が高まっても輸送力の確保が間に合わず、乗車機会や収益を逃す可能性があるという。3社はそれぞれのデータや交通・観光分野の知見、データ分析技術を組み合わせ、需要予測を運行計画や観光施策に活用する仕組みの構築に取り組む。

観光需要を予測し、増便や需要獲得策の事前検討に活用

観光需要の分析では、日本政府観光局(JNTO)が公表する訪日外客数や、観光庁の宿泊旅行統計調査などを活用。為替レートや航空便の動向、地域のイベント情報、Web検索動向なども組み合わせる。複数のデータを解析することで、インバウンドを含む観光需要を数カ月先まで予測する計画だ。

予測結果は、増便などの運行施策や需要獲得に向けた施策の検討に用いる。需要が高まる時期を事前に捉えることで、利用者の乗車機会の確保と運賃収入の増加につなげる考えだ。

乗降データから生活路線の利用実態も分析

共同研究では、観光需要だけでなく、地域住民が利用する生活路線も分析対象とする。通勤や通学、通院、買い物などを支える路線について、運行・乗降データなどから利用実態を分析。需要の現状や変化を把握し、地域の交通課題の整理や生活路線を維持するための運行施策の検討に活用する。これにより、持続可能な地域交通の実現につなげるとしている。

第1期は2027年3月まで、予測モデルの精度を検証

研究は2段階で進める。第1期は2026年11月から2027年3月までを予定。データ収集環境を構築したうえで予測モデルを設計し、実データを使って精度を検証する。

2027年春以降の第2期では、予測モデルを活用した運行計画や集客施策を実践し、その効果を検証する予定だ。道南バスでの取り組みをモデルケースとして、将来的には全国の自治体やバス事業者との連携を進める方針である。

3社がデータ、交通・観光の知見を持ち寄る

角川アスキー総合研究所は、観光統計や人口動態、Web情報などのデータ収集・解析を担当する。需要予測モデルの設計・構築も担う。

道南バスは、運行・予約・乗降データを提供。加えて、運行現場で得た知見や課題を共有する。

WILLER ACROSSは予約データを提供する。交通・観光分野の知見を生かした課題整理も担うほか、需要予測に基づき、交通事業者や自治体、DMOなどと施策を検討・提案するという。