【 厚生労働省 】75歳以上の金融所得を29年から医療費に反映

厚生労働省は、75歳以上の高齢者の公的医療保険料や窓口負担の算定に金融所得を反映させる新たな仕組みが、29年8月から始まることになった。

 今年5月に成立した医療保険制度改革法に盛り込まれた措置で、都道府県ごとにある広域連合が株式の配当や譲渡益などを把握し、所得に応じた公平な負担を求める。ただし、政府が「貯蓄から投資へ」の旗印の下に導入した少額投資非課税制度(NISA)で生じた金融所得は、医療費負担算定の対象外となる。高齢者の投資はNISAに切り替えた方が良さそうだ。

 75歳以上が入る後期高齢者医療制度の保険料や窓口負担割合は自治体(広域連合)が決める。負担は原則1割で、所得が多ければ2割や3割になる。

 現行では後期高齢者の所得のうち、年金や給与、不動産所得は保険料などに反映されている。金融所得の課税手続きは、確定申告したケースは捕捉できるものの、「ほとんどの人が選ぶ源泉徴収だと自治体に情報が届かず反映されないという課題があった」(厚労省幹部)。

 そこで医療保険制度改革関連法は、金融機関に対し、後期高齢者の金融所得の法定調書を自治体にオンラインで提出することを義務付けることを明記。

 先の幹部は「この仕組みを導入する上で最大のボトルネックは制度変更に伴う自治体側のシステム改修だ」と明かす。

 ITエンジニアの人手不足で当初は、30年度中の開始を見込んでいた。しかし、国会審議で「現役世代の保険料負担を軽減するためにも早急に導入すべき」との指摘を受け、開始時期を前倒すことになった。

 金融機関は28年分の法定調書を29年1月末までに提出。自治体は毎年8月に保険料や窓口負担割合を判定するため、29年8月から金融所得の反映が始まる。しかし、NISAによる利益は対象外という「抜け道」をつくったので、どれぐらいの高齢者が負担増となるのか見通しにくいのが実情だ。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト・矢嶋康次が衝く「消費税議論の核心」