この半導体ニュースのまとめ

・長崎県が半導体製造・製造装置を核とする地域産業クラスター計画を公表
・官民設備投資700億円、5年間で付加価値904億円、人材1783人を目標に設定
・製造装置メーカーの誘致と県内金属加工企業の参入を進め、売上高1兆円を目指す

長崎県は、半導体製造と半導体製造装置を核とする「半導体関連分野における地域産業クラスター計画」の概要を公表した。

半導体デバイスメーカーが集積する諫早市や大村市を中心に、県内のデバイス・素材メーカー、半導体製造装置・部品メーカー、金属加工企業などを結び付け、半導体関連産業のサプライチェーン形成を進める。

  • 長崎県の半導体関連分野における地域産業クラスター計画

    長崎県が策定した半導体関連分野における地域産業クラスター計画の概要。官民設備投資700億円、5年間で付加価値904億円、人材1783人の確保・育成を目標に掲げる (出所:長崎県)

官民700億円を投じて半導体産業を拡大

計画では、官民設備投資額700億円、5年間の付加価値増加額904億円、産業人材の確保・育成数1783人を目標に設定した。

長崎県内には、世界シェアの高いデバイス・素材メーカーが立地し、新工場の建設も進んでいる。一方、半導体関連の事業者数が少なく、県内企業間の取引が限定的であるほか、技術者・技能者の不足、大規模な産業用地や水資源の確保などが課題となっている。

県は、企業誘致、県内企業の高度化と新規参入、人材育成、インフラ整備を一体的に進め、半導体関連産業の集積と県内への経済波及を図る。

造船業の金属加工技術を半導体製造装置へ

クラスター形成では、造船業などで培ってきた県内企業の金属加工技術を、半導体製造装置や関連部品へ展開する。

半導体製造装置には、高い加工精度や清浄度、耐久性が求められる金属部品が多数使用される。県内の加工企業が装置部品や周辺機器の製造へ参入することで、半導体産業の裾野を広げる考えだ。

基本戦略には、製造装置分野を中心とするアンカー企業の誘致、既存企業の規模拡大・高度化、アンカー企業から県内企業への受注構造の構築を掲げる。ながさき半導体ネットワークなどと連携し、産学官による人材育成も進める。

製造装置メーカーの誘致と県内参入を促進

企業誘致では、県内への波及効果が高い半導体製造装置メーカーなどを「(仮称)東彼杵町工業団地」をはじめとする県内工業団地へ呼び込む構想を示している。

洋上風力発電などの再生可能エネルギーや、国のGX戦略地域制度なども活用する。長崎県は過去5年間に半導体分野へ約77億円を支援しており、今後も企業の新規立地や県内企業の設備投資、人材育成を後押しする。

SUMCO TECHXIVなど21事業者が核に

計画では、半導体シリコンウェハを製造する「SUMCO TECHXIV」や、半導体製造向けの精密温調装置を手掛ける「伸和コントロールズ」など、県内21事業者をクラスターの核に位置付ける。

  • 長崎県内における半導体関連事業者の分布

    長崎県内における半導体関連事業者の分布。SUMCO TECHXIVや伸和コントロールズなど合計21事業者をクラスターの核に位置付ける (出所:長崎県)

諫早市と大村市を中心に、長崎市、佐世保市、松浦市、雲仙市、西彼杵郡、東彼杵郡などの企業を結び、材料、デバイス、製造装置、部品、サービスを含むサプライチェーンの構築を図る。

半導体関連産業の売上高1兆円を目指す

長崎県は、企業誘致、県内企業の成長と新規参入、人材の確保・定着を進め、県内半導体関連産業の売上高1兆円を目指す。

毎年度、設備投資、付加価値、人材育成、企業誘致、県内取引などの進捗を検証する。KPIが3年連続で目標値の7割に達しなかった場合は、事業の中断を含めて計画を見直す。

既存の半導体デバイス・素材産業に、造船業由来の金属加工技術や再生可能エネルギーを組み合わせ、半導体製造装置を軸とした産業クラスターの形成を進めるとしている。