LINEヤフーは10月27日、「LINEヤフー BIZ Conference 2026」を開催した。本稿では、「顧客接点のその先へ。セブン‐イレブンとLINEヤフーが挑む、新たな買い物体験」と題して行われたSESSIONの内容をレポートする。

登壇は、セブン‐イレブン・ジャパン 執行役員 マーケティング本部長の岡嶋則幸氏。モデレーターはLINEヤフー 執行役員 コーポレートビジネスドメイン ビジネスデザインSBU SBUリードの小野雄紀氏が務めた。

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    (左から)LINEヤフー 執行役員 コーポレートビジネスドメイン ビジネスデザインSBU SBUリード 小野雄紀氏、セブン‐イレブン・ジャパン 執行役員 マーケティング本部長 岡嶋則幸氏

コロナ禍を経て変わった、コンビニへのニーズ

コンビニエンスストア・セブン‐イレブンは現在、日本全国で約2万2000店舗を展開している。そのマーケティングを統括する岡嶋氏は自身の業務について、「店舗、アプリ、7NOWでお客さまとの接点を広げる取り組みをしている」と話す。小野氏は「これだけ店舗があるのに、まだまだ接点を広げなければいけないのか」と率直な問いを投げかけた。

それに対し岡嶋氏は、2つの変化を理由に挙げた。1つは、原材料費や人件費の高騰により、顧客の価格に対する感度が高くなっていることだ。もう1つは、コロナ禍を経て生活様式が大きく変わり、コンビニエンスストアへの来店動機や接点が変化したことである。

従来、コンビニエンスストアは「忙しくて時間がないときに簡単に済ませたい」というニーズに応じる存在だった。また、通勤や通学の際、日々目に触れ、足を運ぶ場所でもあった。しかし在宅勤務などが増えたことにより、来店目的が変化したり、そもそもの接点が減ったりしているというわけだ。そこで同社は、目的を持って来店してもらう仕掛けをつくっている。DAISO商品の取り扱いや、アンドエスティと共同開発したアパレルの展開などだ。

なぜ、自社アプリだけではダメなのか

そんな接点づくりの1つとして、セブン‐イレブン・ジャパンではLINE公式アカウントを開設している。「自社の公式アプリがあるなかで、なぜLINEを活用するのか」という小野氏の質問に、岡嶋氏は2つのメリットを挙げた。

1つは、自社アプリではリーチできない層への接点となる点だ。岡嶋氏によると、「セブン‐イレブン公式アプリ」の場合、アプリが起動されるのは店頭が中心だという。本来は、来店前や「お昼ご飯を食べたいな」などというタイミングで起動し、情報を得て、来店してもらうのが狙いだ。しかし実際には、来店前の情報収集にはあまり利用されていない。また、そもそも公式アプリをダウンロードしていないという人もいる。一方でLINEであれば、多くの人がすでにダウンロードしており、日常生活のふとしたときに情報に接することができる。

「自社アプリとLINEでは、使われる場面が違うのです。LINEであれば、来店を考える前の段階で接点を持ち、商品情報を届けることができます」(岡嶋氏)

もう1つは、より多くの来店や購買につなげられる可能性が高い点だ。岡嶋氏はマス訴求との違いを例に説明をした。セブン‐イレブン・ジャパンはTVコマーシャルなどのマス訴求を実施している。この手法では多くの人に情報を届けることが可能だが、1人ひとりの状況やニーズに合わせた発信は難しい。一方、LINEであれば、パーソナルな発信が可能である。その顧客に合った情報を発信することで、来店や購買をより後押しできるというわけだ。

「これまで我々は多くの方々に支持される商品を開発して、お客さまに選んでいただいてきました。今は“個”が尊重される時代です。これからは打ち手を細かくしながら、1人ひとりのお客さまに合った商品や情報を流していかなければいけないと考えています」(岡嶋氏)

キャンペーン実施で感じた手ごたえ

セブン‐イレブン・ジャパンではLINE公式アカウントを使ったキャンペーンも積極的に展開している。2026年7月11日、「セブン‐イレブンの日」に行ったキャンペーンでは、LINE公式アカウントの登録者に対し、約1270万通の情報を発信。約120万人がキャンペーン情報をクリックしたという。また、店頭でのスタンプラリーについても、来店施策として一定の効果を感じているそうだ。

「スタンプラリーは元々、紙の台紙を用意して実施していましたが、運用が煩雑だったのです。それがLINEによって簡単になりました。また、自社アプリを入れていなくてもLINEだけで参加できるため、参加するハードルが下がった点も大きな効果につながった理由だと考えています。さらに、LINEの公式アカウントに登録してもらうことで、新たなお客さまと接点ができ、その接点を持ち続けることができるという点でも、良い取り組みだったのではないでしょうか」(岡嶋氏)

ミニアプリ展開、パートナーシップ締結でさらに接点を増やす

話題はここから7NOWに移った。7NOWは、スマートフォンで注文した商品を指定の場所で受け取れるデリバリーサービスだ。モバイルオーダーや、クリスマスケーキ、おせちといった季節商品の事前予約もできる。従来は、専用アプリと公式Webサイトからの利用のみだった。岡嶋氏は「サービスを知らない人たちが、日常の中で7NOWに出会うきっかけをどう増やすかが課題だった」と言う。

そこで、2026年10月からLINEミニアプリに7NOWのフル機能をローンチ。反響が大きく、ローンチ後1週間の平均DAUで見ると、全てのLINEミニアプリの中で1位となったそうだ。

「(この結果は)実際に使っていただける入り口をつくることができたということであり、期待をしていただいている証拠でもありますので、今後もがんばっていきたいと思います」(岡嶋氏)

講演の最後、今後の展望を問われた岡嶋氏は、「今後も来店のきっかけづくりに注力していく」と強調した。その一環として、2026年7月31日には、LINEヤフー、ソフトバンク、PayPay、三井住友カードと戦略的パートナーシップを締結している。

「セブン‐イレブンに来る理由がどんどん希薄化しているように感じています。これまでは(セブン&アイ・ホールディングス)グループで共通のIDを持ち、マイルを貯められる施策をしていました。しかし、生活様式が変わり、人口も減っていくなかで、我々だけでさまざまなことをやっていても、お客さまになかなか情報が伝わらなくなっています。そのため、各社それぞれの顧客基盤を活かして、来店のきっかけをつくれるようにしていきたいと考えています」(岡嶋氏)