神戸大学発のスタートアップで、兵庫・神戸市に本拠を構えるセカフィーが、半導体チップの動作異常を物理的に検知・予防するセキュリティ対策デバイスを開発。2027年にも基板に実装してデモを行う。デバイスサイズを小型化してチップレットに実装しやすくすることで多様なユーザーニーズに応える。
データ漏洩が止まらない昨今だが、多くは悪意のあるソフトウェアによるもの。これに対してセカフィーが手がけるのは半導体チップに直に電磁波やレーザーを照射したり、電極にプローブで直に異常を引き起こす信号を送るといった物理的な攻撃に対処するセキュリティ対策デバイスだ。日本ではまだ関心が薄いが、欧米では実際にセキュリティデバイスや車載デバイスが攻撃された事例があり、深刻に受けとられている。
どのように半導体が攻撃を受けるのか。ASIC(特定用途向けIC)などは処理する内容によって放射する電磁波などが異なる。プローブなどで電磁波のパターンを取得して入力値との関連を分析すれば実際にどのような計算を行っているのかが掴める。しかし何らかの攻撃を受けていれば、正常なアルゴリズムによるパターンが崩れていて、そこから暗号鍵情報が盗まれた可能性がある。
またコンピューターにログインする場合、チップの電極にプローブをあて、特殊なノイズを送ると瞬間的に電源が落ちてしまう。動作が止まっているときにログイン画面をスキップするようにすれば、攻撃者はシステムに入り込める。保安点検などで、部外者が長時間計算機室に入ることへのリスクが高まるところだ。
これらのリスクを回避できるようにするのが、チップレットに実装される同社のデバイスだ。検査対象となるチップの隣に配置し、電源が遮断されたり、プローブの接触などがあればそれを検知して、LEDランプが点灯する。安全保障面から今後は国産セキュリティデバイスが重要になるとみて、脆弱性診断やユーザーのチップ設計後のセキュリティ対策、さらにチップ設計段階の対策を考えている。
半導体プロセスは微細化が進み、これから2nm(ナノメートル)プロセスのプロセッサなどが増えていく。このため、同社もセキュリティデバイスを現在の5cm角から1cm角へと微細化し、チップレットに搭載しやすくする。小型化によって、物理的に信頼性を保証する領域を狭くできるメリットもある。
同社の門田和樹社長は、「エッジデバイスやロボットなど、人に近いところで使われる半導体が増えている。不測の事態をさけるためにもハードウェアによる安全性確保が重要」と話している。

