この半導体ニュースのまとめ

・ニコンがNEDO事業に採択され、解像度0.5μmのデジタル露光装置を開発へ
・510mm×515mm基板で重ね合わせ精度±0.15μm以下を目指す
・従来装置比50%の省エネも実現し、先端パッケージングの微細化に対応

ニコンは10月20日、同社が提案した「高精細アドバンストパッケージ用デジタル露光装置の開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発」のうち、「大面積かつ高精細露光装置開発」のテーマに採択されたことを受けて、半導体の先端パッケージング向けに、解像度0.5μmのデジタル露光装置の開発へ着手することを発表した。

開発する装置は、510mm×515mm基板に対して、解像度0.5μmのLine and Space(L/S)、重ね合わせ精度±0.15μm以下を目標とする。また併せて、従来装置と比較して50%の省エネを目指すという。

AI半導体の大型化とRDL微細化に対応

生成AIやポスト5G通信の普及に伴い、GPUやHBMなど複数のチップを高密度に組み合わせる先端パッケージング技術の重要性が高まっている。特にPanel Level Packagingでは、大型基板上に複数のチップを実装するため、チップ間を接続するRDLの大面積化と微細化を両立する露光技術が求められる。

ニコンは、半導体後工程向けデジタル露光装置にフォトマスクを必要としないマスクレス露光方式を採用している。回路パターンを表示するSLMに光を照射し、投影レンズを介して基板へ直接転写することで、大型基板への対応や回路設計の変更を柔軟に行える点を特徴とする。

今回の開発では、大型基板への対応を維持しながら解像度を0.5μmまで高め、AI半導体向けの大型インターポーザーや高密度なRDL形成に対応する。

DSP-100、DSP-110に続く高精細モデル

ニコンはデジタル露光装置を現中期経営計画の注力分野の1つに位置付け、先端パッケージング向けの製品開発を進めている。

2025年7月には、解像度1.0μm、重ね合わせ精度±0.3μm以下に対応する「DSP-100」の受注を開始。半導体露光装置で培った高解像度技術と、FPD露光装置で培った大面積を高速に処理する技術を組み合わせ、半導体後工程向けデジタル露光装置市場へ参入した。

  • デジタル露光装置「DSP-100」のイメージ

    デジタル露光装置「DSP-100」のイメージ (出所:ニコン)

さらに2026年10月、解像度1.5μmに対応する「DSP-110」を発表。510mm×515mm基板で毎時72枚の処理能力を実現し、DSP-100と比べてスループットを約40%向上させた。2027年4月の発売を予定している。

DSP-100が微細なRDL形成、DSP-110が解像度と生産性の両立を重視するのに対し、今回開発する0.5μm対応装置は、さらに高密度な先端パッケージングを対象とする位置付けとなる。

重ね合わせ精度を±0.15μm以下へ

多層のRDLを形成する場合、下層に形成した配線と新たに露光する回路パターンの位置を高精度に合わせる必要がある。

位置ずれが大きいと、上下の配線や接続部を正しくつなげられず、パッケージの性能や歩留まりへ影響する可能性がある。

ニコンのDSP-100とDSP-110は、重ね合わせ精度±0.3μm以下に対応するが、新たに開発する装置では、これを±0.15μm以下へ高め、0.5μmの配線形成に必要となる位置合わせ精度を確保する計画だという。

ニコンは、SLM、光学系、精密ステージ、位置計測、回路データ処理などの要素技術を高度化し、解像度と重ね合わせ精度、生産性を一体的に向上させる考えである。

  • デジタル露光装置内部のイメージと解像度0.5μm(L/S)に向けた要素開発の内容

    デジタル露光装置内部のイメージと解像度0.5μm(L/S)に向けた要素開発の内容 (出所:ニコン)

従来装置比50%の省エネを目指す

さらに今回の研究開発では、解像度と精度の向上に加え、従来装置比50%の省エネを目標としている。

露光装置を高精細化する場合、処理する回路データ量や光学系、ステージ制御などの負荷が増える可能性がある。量産設備として導入を広げるには、性能向上と同時に装置の消費電力も抑える必要がある。

NEDO事業は、ポスト5G情報通信システムの開発・製造基盤の強化だけでなく、デジタル社会と脱炭素化の両立を目的としていることから、ニコンも装置の構成や露光プロセスを最適化し、高精細化と省エネを両立する技術の確立を目指すこととなる。

AI半導体向けの先端パッケージングでは、チップの大型化や搭載数の増加に伴い、RDLの面積拡大と微細化が並行して進む可能性がある。ニコンは、1.5μm、1.0μm、0.5μmと異なる解像度に対応するデジタル露光技術を構築し、製品や工程ごとに異なる解像度、生産性、大型基板対応の要求へ応えることで、半導体後工程向け露光装置事業の拡大を目指すとしている。