≪ 改正皇室典範・皇統のあり方を考える ≫ 百地 章・日本大学名誉教授を直撃!

皇室の歴史に整合的で皇室典範改正に相応しい

 

 ─ まずは改正皇室典範が成立したことを、百地さんはどのように受け止めていますか。 

 百地 今回の皇室典範改正は、戦後レジームからの脱却という意味で画期的です。 

 一つ目の、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を有する案については、わたしは条件付きで支持してきました。その条件は配偶者と子は皇族としないこと、これは女系の誕生を防ぐために不可欠です。次の養子案を確実に実現するため、やむを得ず支持したわけです。 

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 しかし、結果的に愛子さまや佳子さまが皇族として残られ、悠仁さまをお支えすることになれば、それはそれで非常に好ましいと。逆に、あのお二方が皇族を離れることになれば、年齢が近い皇族がいなくなるので、悠仁さまは非常に心細くなると思います。 

 まず、「立法府の総意」は、「皇室の歴史に整合的かどうか」というのがキーワードになっていまして、この案は皇室の歴史に整合的であり、皇室典範改正に相応しいものであると考えます。 

 ─ 皇室の歴史に整合的というのはどういう意味ですか。 

 百地 皇室の歴史上、先例があるかどうかということです。女性皇族が民間人と結婚した際、皇族の身分を保持した先例は徳川時代に9例あり、整合性があるということになります。 

 また、今の皇室典範第15条では、民間人の男子は皇族となることが出来ません。民間人で皇族になれるのは女性が男子皇族と結婚する場合のみです。それが建国以来の皇室の歴史です。 

 現在の皇室典範上、民間人の男子は皇族となることが出来ず、その子も「天皇の子、孫、3世以下の子」ではなく(第6条)、親王・王にはあたらない(第5条)から、皇族にはなれません。木原稔官房長官は7月10日の国会答弁で、「配偶者と子は一般国民」と明言しました。これは現在の皇室典範を踏まえれば明らかなことです。 

 ただ、これには課題もありまして、この女性皇族案が特例ではなく、恒久制度になったことについては不安もあります。どのような人物が女性皇族の配偶者となろうとするか分からないからです。 

 ─ どんな人物が皇族に入ってくるか分からないと。 

 百地 そうです。江戸時代、女性皇族が結婚する場合のお相手は摂関家や徳川将軍だけでした。それなりの家柄だから安心だったわけです。明治の皇室典範では、お相手は皇族か華族に限られていましたから、一般国民は結婚できませんでした。 

 ところが、今の時代は女性皇族のお相手を制限することは出来ません。そのため誰が入ってくるか分からない不安がある。ですから、わたしは今回は皇族数の減少という皇室の危機を受けた特別な措置として、現在の女性皇族のみに適用すべきだったのではないかと思っています。 

 ─ 今回の改正案の重大ポイントとなった旧宮家からの養子案については、どのように受け止めていますか。 

 百地 これは「皇統に属する男系男子」を皇族に迎えるということで、高く評価できると思います。「皇統」は常に直系で継承されてきたのではなく、直系がいない場合には傍系という形で継承されてきました。 

 現在、次の世代の直系男子は悠仁さましかおられないということで、直系の危機にある。ですから、傍系の宮家を整備して男子を確保することは喫緊の課題であると認識しています。そういう意味で、旧宮家から養子を迎えるということは、皇室の伝統と憲法から見て極めて妥当であると考えます。 

 2005年(平成17年)、細川政権時に、女性・女系天皇容認、長子優先の「有識者会議報告書」が出されました。あれから21年目にして、ようやく男系男子確保案を実現することが出来たということで、非常に画期的だったと思います。 

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