Claude Coworkに仕事を任せたけど、思った通りの成果物が出てこない――。期待とのズレは、AIの性能だけでなく「何をしてほしいか」の伝え方によっても生まれます。

書籍『Claude Cowork スゴイ活用術』(著:AI部/マイナビ出版)が推奨するのは、手順を細かく指定するよりも、まず「ゴール」を渡すという考え方です。

  • (書影1)『Claude Cowork スゴイ活用術』

成果物が「なんだか違う」とき、見直すのは指示の書き方

Claude Coworkは、指定したフォルダ内のファイルを開いて読み・編集し、成果物まで仕上げてくれるAIです。しかし、とても便利な一方で「なんだか違う」と感じる結果が出力されることも少なくありません。同書は、その原因の多くをAI側ではなく指示するユーザー側に置きます。

「思ったのと違うものが出てきた」「何度やり直しても満足できない」。Claude Coworkを使ってみて、こう感じたことはありませんか。原因の多くは、指示(プロンプト)の書き方にあります。

つまり、うまくいかないときに見直すべきは、AIの能力よりも自分の伝え方だ、という視点です。

「手順」ではなく「ゴール」を渡す

では、Claude Coworkに何をどう伝えればよいのでしょうか。同書が最初に挙げるのは、作業手順ではなくゴールを渡すという発想の転換です。

指示の書き方で最も大切なコツは、細かい手順を1ステップずつ指示するのではなく、「最終的に何を達成したいか(ゴール)」と「守ってほしい条件」を伝えることです。手順はClaude Coworkに考えさせます。

なぜ、手順を細かく指定しないほうがよいのでしょうか。同書は次のように説明します。

手順を指定すると、Claude Coworkは「言われた通り」にしか動けなくなります。途中で気づいた改善点も活かせません。

ゴール、形式、判断ルールを伝えると、Claude Coworkは自分で最適な手順を考えて実行します。AIの得意分野である「計画立案」を活かせるので、結果的に良い成果物が出ます。

ここで気をつけたいのは、ゴールを渡すことは「手抜き」ではない、という点です。伝える情報を減らせばよいと誤解されないように、同書ではAnthropic公式による「ゴールデンルール」を判断の拠りどころとして紹介します。

そのプロンプトを、この業務の背景を知らない優秀な同僚に見せてみてください。その人が読んで理解できないなら、Claudeも理解できません

これは「手順をすべて書け」という意味ではなく、業務の文脈・前提・判断ルールを言語化しようという意味です。

  • Anthropic公式「ゴールデンルール」のイメージ図

    背景を知らない優秀な同僚が読んで分からなければClaudeも分からない(イラスト・キャプションとも『Claude Cowork スゴイ活用術』から引用)

指示を組み立てる「5つの要素」 - ゴール/入力/出力/制約/進め方

発想がわかっても、いざプロンプトを書くとなると迷うものです。そこで同書は、どんな業務でも同じ順序で指示を組み立てられる「型」を用意しています。同書が「5ステップ型」と呼ぶ、5つの要素です。まずは、各要素が何を担うのかを一覧で確認しましょう。

  • プロンプトを自力で組み立てる「5ステップ型」のイメージ図

    5ステップ型のワークフロー(イラスト・キャプションとも『Claude Cowork スゴイ活用術』から引用)

指示を組み立てる5つの要素

ステップ 埋めるもの 書き忘れるとどうなるか
① ゴール このタスクで最終的に何を達成したいか Claudeが的外れな方向に進む
② 入力 何を材料に使うか(ファイル、データ、URL) 参照する場所がわからず止まる
③ 出力 何を成果物として受け取りたいか(形式、場所、名前) チャット欄に長文を吐き出して終わる
④ 制約 やってほしくないこと、必ず守ってほしいルール 望まない動きをする(勝手に削除など)
⑤ 進め方 どう進めてほしいか(段階・並列・承認) 複雑な作業で全部一気にやろうとして失敗

※『Claude Cowork スゴイ活用術』をもとに編集部作成

5つと聞くと身構えるかもしれませんが、ようは「埋める欄が5つあるだけ」です。なかでも起点になるのが①のゴールです。同書は、その書き方に一段のコツを添えています。

「作業」ではなく「成果」で書く
例:「Excelを作って」ではなく「支店別に売上を比較できるレポートを作って」
「誰が・いつ・何のために使うか」を含める
例:「部長への報告用に」「明日の会議で使うために」

ゴールが曖昧だと、他のステップをどれだけ丁寧に書いてもズレが起きます。

残る「入力・出力・制約」を考えるときは、前提・背景・成果物を意識しておくと、要素を埋めやすくなります。

前提▶なぜこの仕事をするのか
例:「経営会議で使うので、経営層がひと目でわかる内容にしてほしい」
背景▶関連情報は何か
例:「前月のレポートと同じフォーマットで」「過去3か月分のデータと比較して」
成果物▶何を・どんな形式で作るか
例:「Excel形式で、グラフ付き、10枚以内」

手順そのものは指定せず、判断の材料と枠を明確に渡す。これが「ゴールを渡す」を具体的に落とし込むことに繋がります。5つの要素を実際にまとめたプロンプトの完成例を記事末に掲載しました。あわせて確認してみてください。

プロンプトは毎回すべて埋めなくていい - 小さく試して足す

ここまで読むと、5つの要素は必須であり、毎回すべて埋めることが要求されるような気がしてきます。しかし、同書はそうではないと補足します。

5ステップは「必ず全部埋める型」ではありません。迷ったとき、重要案件のとき、繰り返し使うプロンプトを設計するときの「型」として使ってください。単発の簡単なタスクなら「ゴール」だけでも十分動きます。

むしろ、最初から完璧を目指さないほうが近道になる場合もあります。

「最初から全部埋める」より、「まず最小限で試す → 物足りなければ足す」のほうが、実務的には速く・良いプロンプトが書けます。

まとめると、良い指示とは手順を細かく指定することではなく、まずゴールと条件を共有することにある――というのが同書の考え方です。

次にClaude Coworkへ何かを頼むときは、いきなり手順を書き出さず、「誰が、いつ、何のために使う成果物か」を一文にしてみてください。それでも思ったものが出てこなければ、入力・出力・制約・進め方のどれを書いていなかったかを振り返ってみましょう。5つの要素はそのための手がかりになります。

【完成例】5つの要素で組み立てたプロンプト

最後に、5つの要素を実際に一つの指示にまとめた完成例を紹介します。見るポイントは、5つの見出しが型通りに並んでいることです。もちろん、内容は自分の業務に置き換えて構いません。

## ゴール
来月の営業会議で使う、3月実績の振り返り資料を作成。
対象:営業部30名、時間:30分、目的は「問題の共有と次月の方針合意」。

## 入力
- ~/Documents/Cowork/営業/2026Q1/実績.xlsx(支店×月の売上データ)
- ~/Documents/Cowork/営業/過去資料/2026年2月会議.pptx(前月資料、構成の参考)
- CRMの顧客解約データ(コネクタ経由で取得)

## 出力
- 形式:PowerPoint(.pptx)
- 保存先:~/Documents/Cowork/営業/2026Q1/
- ファイル名:営業会議_202604.pptx
- 構成:サマリー/支店別実績/良かった点/課題/次月の方針(全10~15枚)

## 制約
- 個人名は出さず、支店名と役職で表現
- 数字は実績.xlsx の値のみ(推測の数字は「XX」でプレースホルダ)
- 原因分析は事実ベースで、個人の責任追及にしない

## 進め方
- まず目次案と、各スライドの骨子を箇条書きで出して
- 承認後、本文執筆
- 最後にグラフと図表を挿入して仕上げ

※プロンプトは『Claude Cowork スゴイ活用術』より引用

依頼内容だけでなく、参照してほしい入力、受け取りたい出力の形式、守ってほしい制約、そして進め方まで分けて書かれているのがわかります。手順は指定せず、判断の材料と枠だけを渡す――この形が、ゴールを渡す指示の実物です。


Claude Cowork スゴイ活用術
著者:AI部
発売日:2026年8月27日
販売ページ:電子書籍ストア「マナティ」
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  • (書影2)『Claude Cowork スゴイ活用術』