
2026年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出額は8977億円となり、前年同期より10.9%伸びて過去最高を更新した。
牛肉、リンゴ、コメなど多くの品目が過去最高を記録し、緑茶は前年同期比83.5%増と根強い人気を反映した。国・地域別にみても米国、香港など主要輸出先はいずれもプラスで、その多くが過去最高だった。特に韓国、ベトナムなど東南アジアを中心に20%以上の大幅な増加がみられ、農林水産省によるとインバウンドによる日本食・日本産品の認知度向上などが輸出拡大の要因という。
上半期の農産物輸出は好調だったものの、年間輸出額を2030年に5兆円とする政府目標には依然として遠く及ばない状況だ。残り5年で年率24%の増加が必要となる計算で、鈴木憲和農水相は8月4日の記者会見で「抜本的なベースアップが不可欠」と述べた。
鈴木氏が掲げる対策はこうだ。①拡大余地の大きい現地のスーパー、レストランに食い込む②東南アジア、イスラム圏などブルーオーシャン市場への売り込み強化③緑茶など旺盛な需要がある品目の供給力強化④食品安全規制などの非関税障壁の撤廃・緩和――の4点が中心だが、輸出産地の育成などで事業者の協力や、関係省庁との連携も欠かせない。
農林水産物・食品の輸出額は2013年からの10年間で2.5倍と右肩上がりの成長を続けていた。しかし、2023年8月に東京電力福島第一原子力発電所の処理水を海洋放出したことに伴い、中国政府がホタテなど日本産水産物の輸入禁止に踏み切ったことで急成長にブレーキがかかった。
中国側は2025年6月に日本産水産物の輸入を一部再開したものの、同年11月に台湾有事を巡る高市首相の国会発言をきっかけとして輸入手続きが滞るなど、巨大市場を巡って外交問題が暗い影を落としている。
一方で明るい兆しもある。上半期の輸出額が6位だったベトナム向けは、ホタテ、サバなどが輸出をけん引した。
輸出先の開拓は一朝一夕では実現できない。鈴木農水相は「輸出に取り組む事業者と一緒に、政府一丸となって、輸出拡大に向けた施策の強化を図り、輸出額の増加に着実につなげていく」と語る。政府が一丸となって粘り強く輸出拡大に取り組む必要がある。