【 財務省 】消費税減税を閣議決定 政権の行方を左右する片山大臣

政府が8月5日、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間限定で8%から1%に引き下げる基本方針を閣議決定し、今後の焦点は早くも今秋召集予定の臨時国会に向け、高市早苗首相による内閣改造・自民党役員人事に移っている。

 今夏の中央省庁人事で、財務省は宇波弘貴主計局長が事務次官に昇格した一方、「『反高市』の烙印を押された」(財務省中堅)幹部職員は主要ポストから外れた。霞が関では「高市首相は将来にわたり財務省の力を削ごうとしている」(同)との見方がある。財務省出身の片山さつき財務相の去就も注目される。

 片山氏は5日、消費税減税の財源に関し「市場関係者を含め丁寧に説明し、信認を確保していきたい」と語った。財源確保の具体化については「12月の第2週ごろ」と述べ、2027年度予算編成で議論する意向を示した。

 片山氏はこれまでも「特例公債(赤字国債)には頼らない」「市場との対話を今まで以上に考えたい」などと強調し、日本の財政運営に対する懸念払しょくに注力してきた。

 財務省内は「5兆円の財源確保と国会答弁を他の人ができるのか。片山氏を交代させるのは難しいのではないか」(主計局)と見る向きが優勢だ。為替を巡る日米財務当局との連携も、日本の長期金利上昇が米金利に波及する形でのインフレ進行を懸念するベッセント米財務長官の「圧力」(政府関係者)ともいわれ、「片山氏でないとベッセント氏と交渉できない」(与党幹部)との評価が多い。

 一方、政権支持率低下を踏まえ、片山氏が「ポスト高市」を目指すなら閣外に出たほうがいいとの見方もくすぶる。

 消費税減税を巡っては、小渕優子元選対委員長が党税制調査会非公式幹部会合(インナー)のメンバーを辞任。河野太郎元外相は自民会合で減税反対を表明した。高市首相の後ろ盾である麻生太郎党副総裁や鈴木俊一幹事長も本音は減税に慎重な立場だ。”税は政治”といわれる通り、高市首相が押し切った形で決めた消費税減税は政局の火種になりつつある。

【 370兆円の官民投資の虚像 】ABC経済研究所 代表エコノミスト・熊野英生