
「〝負〟動産を〝富〟動産へ」─。2016年の創業以来、当社は〝負〟の不動産を〝富〟の不動産に変えるための事業に取り組み、お陰様で創業10年目に当たる26年5月7日に東京証券取引所「東京プロマーケット」に上場することができました。
一般的に「負動産」とは、所有負担の大きい不動産を指します。再建築不可の物件や人が亡くなられて心理的な影響が残る「事故物件」等です。当社は19年から事故物件を専門に取り扱うサービス「成仏不動産」を開始し、ご遺族に寄り添いながら不動産の新たな価値を見出し、市場流通を実現してきました。
事故物件と聞くとネガティブなイメージで語られますが、物件を保有するご遺族からすると、大切なご家族を亡くし、その上、安価な価格での売却を余儀なくされるなど大変な思いをされています。当社はそういった方々のサポートをしています。これは大手も含めて他の不動産会社では手掛けない領域です。
実は事故物件といったものに抵抗のない人はたくさんいます。そういった方々と事故物件を当社が結びつけるのです。さらに次の入居者が快適に暮らせるように内装をリノベーションしたり、ご供養や特殊清掃なども手掛けて事故物件のネガティブなイメージを払拭するお手伝いもしています。
大きく言えば、このサービスは空き家対策につながります。入居者は近隣の不動産よりも割安で入居でき、オーナーにとっては半ば入居を諦めていた物件が収益を生むようになるからです。そして空き家が少なくなれば地方創生につながります。
国内では少子高齢化が進んでいます。経済対策で新築戸数を増やす動きもありますが、人口や婚姻件数が増えない限り、住宅の供給過多の状態は継続し、空き家は増加。今も全国では900万戸を超える状況です。この流れに歯止めをかけるには既存の住宅を変えるしかありません。その点、負動産を富動産に転換できれば環境は変わります。
また、当社は事業の特性上、葬祭事業者や介護事業者とのネットワークがあります。こういったパートナーと業務提携を深めることで、提携企業のお客様にも不動産の売買や家財整理のお手伝いといった様々なニーズに応えられます。それが25年6月5日から開始した実家の相談窓口「じつまど」になります。
専任の担当者がご実家にまつわる悩み事をヒアリングし、住まいだけでなく、生活や介護、相続、見守り、片付けといった多様なニーズに合った専門家を紹介し、解決へ導きます。さらに、空き家の所有者の費用負担を抑えながら管理できる新サービス「0円空き家管理サービス」も実証実験を開始しました。
当社は空き家などを起点とした〝総合生活支援サービス企業〟へと進化していきます。私自身が阪神・淡路大震災を経験して大和ハウス工業に入り、兵庫県三木市の高齢化が進む「緑が丘・青山ネオポリス」の再生プロジェクトなどを担当しました。その後、独立するのですが、背中を押したのは父の言葉でした。
小学3年生時、近所の大地主の庭の鯉を捕まえようとしているところを見つかり、父が学校に呼び出されたのです。しかし父は「あんなに立派な鯉をみたら誰だって捕まえたくなる。気にするな」と言ってくれました。普段から人と違うことを考え、行動したりする「逆張り」の発想は父の影響が大きいです。
私たちの出発点は、あくまで「困っている人を助ける」というものです。このスタンスを崩すことなく、社会に貢献していきたいと思っています。