米ラトニック商務長官が、米ニューヨーク州で行われたMicron Technologyの新工場起工式の後、記者団に「米国に投資をしていないメモリメーカーは、米国内での生産拡大を約束しない限り、最大100%の関税に直面する可能性がある」と述べたと複数の米国メディアが報じている。

同氏は、記者団に対し「メモリを製造し米国市場で販売したい企業には2つの選択肢しかない。米国に100%の関税を払うか、メモリ工場を建設するかだ。それが(米国政府の)産業政策だ」と強調したという。米政府が半導体メモリを関税の対象として明確に警告したのは今回が初めてである。

現時点で米トランプ大統領は大半の外国製半導体に対する関税導入を見送る一方、ラトニック氏と米通商代表部(USTR)のグリア代表に対し、半導体輸入への依存低減に向け貿易相手国と交渉するよう求めている。ホワイトハウスは先週、新たな関税と、国内製造を促す相殺プログラムを近く発表する可能性があると明らかにしている。 韓国メディアは、米国がMicronの競合であるSamsung ElectronicsやSK hynixに圧力をかけて投資を要求しているものと韓国内では受け止めていると伝えている。

米国でのメモリ製造計画を持たない韓国勢

Samsungは米テキサス州のロジックファウンドリに370億ドルを投じ、後工程工場の建設も進めているほか、SK hynixもインディアナ州の後工程工場に38億7000万ドルを投じる計画だが、2.5D先端パッケージと研究開発に重点を置いており、いずれもDRAMウェハ工場ではなく、韓国メディアからは両社が米国にメモリ工場を建設することは事実上不可能だとしている。また、HBMのような先端メモリチップは韓国政府の「国家戦略技術」に指定され、海外流出の規制対象となるため、韓国外での生産は困難とみられている。しかも、米国での半導体工場建設は建設費と人件費が高額という課題もある。

3大メモリメーカーの米国での半導体製造計画。韓国2社は生産計画がない (出所:TrendForce)

加えて、両社はすでに韓国内で数百兆ウォン規模のメモリ工場投資を行っており、追加投資の余地はほとんどないといえる。半導体業界関係者は「米国が『メモリ生産』をどのように定義しているかは不明だが、米国での新規メモリ工場の建設は現実的ではない。これは米国での生産拡大圧力の延長と捉え、状況を注視している」と述べている。

ただし韓国内にはSamsungとSK hynixの2社でDRAMの市場シェア7割を占めており、両社からの供給が滞ればNVIDIAやAMDはAI半導体を製造できないほか、メモリ価格の上昇により、米国企業や米国の消費者が負担を負うことになると楽観視する向きもある。

台湾のDRAMメーカーも対象に

米国メディアは、台湾のDRAMメーカーであるNanya TechnologyやWinbond Electronicsも米国での製造計画がなく投資体力もないため、この問題に直面する可能性があると指摘している。米国と台湾は、相互関税で合意に達したばかりだが、一難去ってまた一難という状況である。

トランプ政権は、数か月後に全世界を対象に「半導体関税」を発表する見込みだが、その前提で商務長官と米国通商部代表に対して半導体輸入に伴う国家安全保障の脅威を与えかねない諸外国と交渉して90日以内に大統領に報告するよう要求。その報告に基づいて半導体関税を最終決定するとしており、今後さらに半導体を米国に輸出する各国に圧力がかかることが懸念される。