東北大学は12月18日、科学技術振興機構(JST)の公募事業「次世代エッジAI半導体研究開発事業」のテーマ(2)「3D集積技術」に、同大学提案の「エッジAI半導体を実現する3Dヘテロ集積技術」が採択され、北海道大学(北大)、東京大学(東大)、熊本大学、および民間企業7社と共同で、エッジAI半導体や超低消費電力半導体、さらに量子デバイスを含む次世代情報処理デバイスの実現に不可欠な「3次元ヘテロ集積基盤技術」の研究開発を行う産学共同プロジェクトを開始したことを発表した。
今回のプロジェクトには、東北大からは、東北大大学院 医工学研究科 医工学専攻の田中徹教授、東北大大学院 工学研究科 ロボティクス専攻の田中秀治教授、東北大大学院 医工学研究科 医工学専攻の福島誉史教授、東北大大学院 工学研究科 電子工学専攻の日暮栄治教授ら4名が主たる研究者として参画する。
JSTの同事業は、データ処理量の急増に伴うクラウド側の消費電力増大という課題に対し、アカデミアのシーズを活用してエッジ側での高度な情報処理を可能にする、従来では達成困難な超低消費電力などの革新的な次世代エッジAI半導体のための要素技術の実現を目指すものだ。
具体的には、既存産業や2030年代中盤以降の新たな産業から逆算して導き出した技術のうち、エッジAI半導体に必要となる設計・製造・材料などの分野において、アカデミアが担うべき技術の産業界への速やかな橋渡しを意識した研究開発を行うとしている。
「次世代エッジAI半導体研究開発事業」の全体を見るプログラムディレクター(PD)は、東大 特別教授室の黒田忠広特別教授(熊本県立大学 理事長兼任)が務める。募集テーマは「高効率自動設計による次世代AI回路・システム」、「3D集積技術」、「次世代トランジスタ技術」の3つが設定されており、合計16件の応募に対し、それぞれ5件、2件、1件の計8件が採択された。
テーマ(2)で、横浜国立大学の「環境循環型3D集積半導体製造革新と拠点形成」と共に採択されたのが、東北大の「エッジAI半導体を実現する3Dヘテロ集積技術」だ。なお、テーマ(2)のプログラムオフィサー(PO)は、九州大学の浅野種正名誉教授が担当する。
クラウド側での消費電力増大を抑制するには、エッジ側であるノートPCや携帯端末機器側へのAI搭載が不可欠となる。そのため、エッジAI半導体のみならず、超低消費電力技術や量子デバイスを含む次世代情報処理デバイスも開発対象に含まれる。東北大のプロジェクトでは、これらを実現するために必要な三次元ヘテロ集積基盤技術を将来から逆算して特定し、産学共同で研究開発を進める計画だ。
体制としては、「超並列高速アセンブリ技術開発」、「異種材料低温ハイブリッド接合・インターポーザ技術開発」、「フォノン制御によるマルチスケール放熱技術開発」の3グループが組織される。東北大に加え、北大、東大、熊本大、および民間企業7社が連携して取り組む。また、研究成果の事業化を見据え、事業性や量産性、コスト競争性、環境対応などに関する助言を得るため、プロジェクト推進委員会も設置される。
将来的には連携機関を拡大し、材料科学からシステム設計、インテグレーションまでを一気通貫で研究開発できる半導体先端パッケージング拠点の形成を目指すとする。その中核として、東北大大学院 工学研究科 附属マイクロ・ナノマシニング研究教育センターを「スマートシステム超集積化研究開発センター」に改組し(2026年4月1日予定)、研究開発と研究支援を一体的に推進する体制を強化するとしている。
