米国でNVIDIA Blackwellウェハの製造が開始
NVIDIAの最新世代となるAI向けGPU「Blackwell」。TSMCのNVIDIA向け4nmカスタムプロセス「4NP」で製造されるこのウェハの製造が米国アリゾナ州フェニックスに建設されたTSMCの工場で開始されたことを10月17日にNVIDIAとTSMCが発表した。
これまでもNVIDIAのGPUはTSMCが製造を担当してきたが、基本的には先端プロセスでの製造は台湾で行われてきた経緯がある。今回の米国でのBlackwellの製造開始は、両社も記念的なマイルストーンと評しているほどのインパクトを持つものとなる。背景には、米国政府が推し進める米国での半導体製造能力の拡大に向けた取り組みがあり、先端プロセスを製造するという取り組みのスタートを切れたことを意味することとなるためである。
TSMCのアリゾナ工場はNVIDIA以外も活用
製造を担当するアリゾナ工場の第1棟(TSMC Fab 21 Phase1)は、2024年第4四半期より4nmプロセス(N4)の生産を開始。すでにアリゾナ工場での半導体製造については、NVIDIAのほか、AMDも委託することを明らかにするなど、AI関連を中心に複数の米国企業が利用することを明言している。
今回の製造開始はあくまでウェハ(前工程)であり、ウェハが完成した後、パッケージング(後工程)を行わなければ製品として出荷できない。しかし、現状、米国でTSMCが提供する先端パッケージング技術であるCoWoSを提供できる後工程施設は存在していない。TSMCがアリゾナ工場の敷地に2棟の先端パッケージング工場を建設する予定のほか、TSMCのパートナーであるOSATのAmkor Technologyが10月6日にアリゾナ州にて先端パッケージング工場の起工式を執り行ったが、慣性は2027年半ばとなる予定で、当面は米国でウェハ製造を行い、台湾のTSMCの先端パッケージング拠点で後工程を行うという流れになると見られている。
米国の関税政策が不確かなところがあるが、米国に生産拠点を有している場合は除外される方針であり、半導体の場合、近年、半導体の生産地については前工程の処理を行った国とする向きが強まっていることから、米国で前工程処理が行われていれば、後工程を米国外にて行った場合でも、関税が課せられない可能性が高い。
TSMCはアリゾナに前工程向けに6棟の工場を建設する予定
なお、TSMCでは現在、計画を前倒しする形で3nmプロセス対応の第2製造棟(P2)の建設および製造装置の搬入が予定されているほか、第3製造棟(P3)についても2025年4月に建設開始が発表されている。アリゾナ工場では、その後も第6棟までの建設が計画されているほか、上述の先端パッケージング工場2棟、研究開発センターの建設も予定しており、米国で前工程から後工程まで一貫した生産体制を構築する予定としている。
