戸田建設、JTB、富士通の3社は10月7日、福井県越前市において訪日外国人観光客の誘客拡大を目的とした観光DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクト「ECHIZENクエスト」の実証実験を11月より2026年1月末まで実施することを発表した。
実証の背景
福井県越前市は北陸新幹線の延伸により各エリアからのアクセスが向上し、訪日外国人観光客をはじめ多様な観光客の来訪が期待されている地域だ。今回の実証実験では地域の魅力を引き出し、観光体験の質を高めることで、関係人口の拡大と地域活性化を目指す。
戸田建設は2021年に越前市と官民連携協定を締結しており、北陸新幹線越前たけふ駅周辺のスマートシティ構想を推進してきた。観光誘客を起点としたまちづくりやマーケティング強化に取り組み、地域イベントでの観光動態・交通課題の調査などを実施している。
JTBは地域課題の解決と新規事業創出を目的とした「GLOCAL Sustainability Project(GSP)」を2021年に開始。2024年には越前市を舞台としたプログラムを実施し、地域資源や課題を学んだ参加者の富士通社員が、NFTを活用した観光体験を提案した。
富士通は2023年よりJTBと共同で訪日外国人富裕層向け観光DXサービスの研究を進めており、NFT技術を活用したデジタル通貨ヴィジュアルコインの地域活性化への応用を模索してきた。
今回、これらの活動が同時期に重なったことを契機に3社は連携し、地域の魅力を世界に発信する「ECHIZENクエスト」に至ったとのことだ。
取り組みの詳細
「ECHIZENクエスト」は、越前市内の体験工房と連携して、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前漆器、越前焼などの伝統工芸や眼鏡、繊維などのモノづくりを巡る体験型コンテンツ。
参加者は各スポットで体験を通じて、越前市にゆかりのある紫式部が描かれたNFTを受け取る。このNFTは観光体験の証としての意味を持つほか、地域への支援やお土産との交換も可能で、将来的には特定地域内で利用可能な通貨やポイント制度、さらにはNFT保有者割引や限定体験などの特典との連携も視野に入れているとのことだ。

