インターネットイニシアティブ(IIJ)およびIIJエンジニアリング(IIJ-EG)は10月2日、横浜市選挙管理委員会およびムサシと共同で、選挙における投票環境の向上を目的に、一部の投票所とガバメントクラウド上の投票管理システム間を無線通信による閉域ネットワークで接続する実証実験を行い、その有効性を確認したと発表した。
モバイル通信の活用で低コスト化、複数回線で安定性確保
共通投票所や民間施設への期日前投票所の設置など、有権者の投票環境向上に向けた取り組みは、利便性向上や投票率アップ、人員配置の最適化などの効果が期待される一方で、本人確認や二重投票防止のためには全投票所を安全なネットワークで結ぶ必要があり、従来の専用線方式では高コストと導入の遅さが課題となっていた。
今回の実証実験では、投票所にNTTドコモ網とKDDI網に対応したマルチSIMルーターを設置。電波状況に応じてキャリアを自動で切り替えることで、ガバメントクラウド上にある投票管理システムとの安定した通信を確保。投票所から投票管理システムにある選挙人名簿との照合が問題なく実施できることを確認したという。
モバイルサービスの活用により、高コストや開通までの時間といった従来の課題を解消し、低コスト・短期間で柔軟な投票所ネットワーク構築が可能となる。ガバメントクラウドとの接続には、IIJのプライベートバックボーンサービス「Smart HUB」が活用され、クラウド依存やオンプレミス依存に縛られない柔軟運用が可能だとしている。
各社の役割としては、IIJがモバイルサービスと閉域ネットワーク構築を、IIJエンジニアリングがマルチSIMルーター整備を担当。横浜市選挙管理委員会が投票所環境を提供し、ムサシが投票管理システムを提供した。
IIJグループは今回の実証で、従来課題の解消と信頼性・柔軟性を兼ね備えた投票所ネットワークの構築可能性を示したとしており、今後、選挙運営のデジタル化を支えるサービス展開を目指すとしている。
