オーストリアams OSRAMは現地時間8月27日、解像度を8×8から48×32へ大幅強化したdToFセンサー「TMF8829」を発表。微小な空間的差異を検出し、密に配置された物体や若干異なるだけの物体を判別できるのを特徴としている。2025年第4四半期に供給開始予定だ。
dToF(direct Time-of-Flight)の技術は、センサーから目に見えない赤外領域で光パルスを放射し、センサーの視野内にある対象物からの反射光がセンサーに戻るまでかかった移動時間から、センサーと対象物の間の距離を割り出すというもの。時間が長くかかるほど、対象物が遠くにあることを示す。マルチゾーンセンサーは、反射光を複数の視野角(ゾーン)で捉えることで、詳細な3Dデプス(深度)マップの作成を可能にする。
一般的なdToFセンサーの解像度はこれまで8×8(64ゾーン)だったが、TMF8829では48×32へ向上し、視野を最大1,536のゾーンに分割可能。より詳細な空間的細部まで捉えられるという。同社では「コーヒーマシンの下に置かれているものがエスプレッソ用カップなのか、トラベルマグなのかを判別し、毎回適量が供給されるよう確約できる」とアピールしている。
このような精度は、よく似ている梱包物を判別する物流ロボットから、動画の動的な場面で移動する被写体に焦点を合わせ続けるカメラシステムまで、幅広い用途での活用が見込まれるとのこと。
同社では一例として、スマート照明システムにおける人数カウントや存在検出、ロボットアプリケーションにおける障害物検出や衝突回避、ビル自動化におけるインテリジェントな占有状況モニタリングなどを挙げている。詳細な深度データは、複雑な環境を解釈し、周囲環境とのインテリジェントな相互作用を可能にする機械学習モデルにも基盤を提供できるとのこと。
センサーをカメラと組み合わせると、仮想オブジェクト配置などのARアプリケーション向けに深度データとカラーデータを組み合わせ、RGB Depth Fusionのようなハイブリッドビジョンシステムを実現可能。カメラなしでも運用できるため、プライバシー保護が求められる用途にも対応できるとしている。
光源はデュアルVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)。最大11メートルまでの距離を0.25mmの精度で測定でき、これは「指先のスワイプなどの微小な動作を十分に検出できる感度」だという。反射光パルスのプロファイルを構築し、最も正確な距離点を特定することで、カバーガラスが汚れていたとしても安定したパフォーマンスを追求している。
視野の広さは80度で、広角レンズに匹敵する深度情報を提供可能。オンチップ処理で遅延を抑え、集積化も容易にした。なお、同センサーはクラス1のアイセーフ対応デバイスに分類されている。
本体サイズは5.7×2.9×1.5mmで、「1セントコインより薄く、より低解像度の標準的なセンサよりも小型で、スペースの制約があるデバイスに理想的な形で高解像度を実現する」としている。

