TISインテックグループのTISは6月24日、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)が提供するAIアシスタントサービス「Amazon Q Business」を活用したシステム開発および運用の課題解決に特化した生成AIサポートチャットのベータ版を提供開始することを発表した。

この生成AIサポートチャットは、同社の「マネージドサポートサービス」の契約者を対象に初期費用不要で提供する。

  • サービス全体像

    サービス全体像

サービス提供の背景

近年は生成AI技術の急速な発展により企業でのAIチャットボット導入が進み、業務効率化を支援している。特に企業のシステム開発と運用の改善を目的として生成AIを活用する場面においては、企業固有のシステム構成やセキュリティ要件を考慮した最も関連性の高い情報だけを的確に抽出し、解決手順を提示するナレッジの需要が高まっている。

しかし公開情報をベースに学習された汎用的な生成AIモデルでは、単独で企業固有のシステム構成やセキュリティ要件を考慮した回答が困難な場合もあり、複雑な技術課題の解決に要する時間が長期化する傾向にある。

こうした課題から、企業ごとにカスタマイズされた生成AIチャットボット環境を迅速かつ効率的に構築する方法が求められる。そこでTISは、AWSが「Amazon Q Business」で提供する生成AIと、これまでTISが培ってきたAWS運用ノウハウを組み合わせ、その強みを生かす生成AIサポートチャットを開発した。

生成AIサポートチャットの特長

生成AIサポートチャットは、「Amazon Q Business」を活用したシステム開発および運用の課題解決に特化している。TISの「マネージドサポートサービス」の一部として提供を開始する。

「マネージドサポートサービス」の契約ユーザーは自身でAIチャットボットを開発することなく、すぐに利用開始できるという

同サービスの特徴としては、TISの実際のトラブル解決事例に基づくナレッジにアクセス可能な点が挙げられる。ユーザーが「Amazon Q Business」のAIチャットボット画面から質問を送信すると、TISが蓄積したデータを生成AIが検索して分析し、ユーザーの状況に適した解決策を提示する。

また、自社固有のナレッジとの融合によるカスタマイズされた解決策の提示も可能。TISのナレッジに加えて、ユーザー自身が企業内で保有する自社システム固有の情報をアップロードすることで、自社の環境に最適化された回答を導出できる。

例えば、既存の運用マニュアルやシステム構成図、過去のQA履歴、障害報告書などのデータをドラッグ&ドロップでアップロードするだけで、生成AIによる回答に統合可能。「Amazon Q Business」が対応するWord、Excel、PDF、テキストファイル、音声データと動画データのアップロードに対応する。なお、アップロードしたデータは、AWS上に構築されたユーザー専用のデータ格納領域に格納される。

生成AIサポートチャットは「マネージドサポートサービス」のメニューとして提供されるため、企業向けにカスタマイズされた生成AI環境を構築する一連の開発プロセスを、TISが事前に完了した状態で提供可能。ユーザーは「マネージドサポートサービス」契約後に提供されるAIチャットボットのURLにアクセスするだけで、即日で利用を開始できる。