NTTコムウェアは5月20日、Red Hat OpenStack Services on OpenShiftを搭載した開発用クラウドサービス「DevaaS Anthem(ディバース アンセム)」の提供を開始したことを発表した。同サービスはITシステム開発環境の運用効率向上や、外部環境に依存しない安定したシステム開発の実現を支援する。
DevaaS(Development as a Service)とは、IDP(Internal Developer Platform:内部開発者向けプラットフォーム)として、NTTコムウェアがオープンソースソフトウェア技術と知見を活用して開発したソブリンクラウド。
DevaaSはOpenStackをベースとしたRed HatのRed Hat OpenStack Platformを採用することで、開発環境における可用性やセキュリティガバナンスの強化とTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)削減を両立。
今回はRed Hat OpenStack Services on OpenShiftを採用することで、開発プロジェクトが要求する基盤要件に柔軟に追従する。最新OSなどの新技術導入を加速し、ビジネスニーズの即応性を向上させて企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献するという。
サービス概要
DevaaSはユーザー利便性を追求したセルフサービスインタフェースを備え、複雑なインフラ設定を簡略化することで、システム開発者はインフラの技術経験や知識を必要とせず環境を構築できる。そのため、開発チームが統一された環境でアプリケーション開発に集中できるようになる。
また、秘匿性の高いソースコードなど開発プロジェクトが保有する重要な情報資産をクラウド内で管理するため、マネジメントによる統制機能にも順次対応するという。仮想マシン操作の記録だけでなく、通信ルール変更や管理ロールの付与や削除などのセキュリティアクションを上位者が即時に把握可能な仕組みを提供する。
DevaaS Anthemの主な機能
従来のアーキテクチャでは、基盤ファームウェアのバージョンアップに際してコントローラの更新が必要となるため、サービス全体に影響が波及していた。今回、コンテナベースのコントロールプレーンを採用することで更新範囲をPod(機能)単位に局所化し、ダウンタイムの極小化を実現している。これまで数時間を要していたデプロイ作業が数分程度までに短縮され、システム開発業務に影響を与えずタイムリーにアップデート可能となるため、技術変化を柔軟に取り込んだシステム開発環境が利用可能とのことだ。
また、Windows 11の必須要件であるセキュアブート、TPM(Trusted Platform Module)などの仮想化実装を新たに提供する。技術変化へ迅速に追従し開発者に最適な仮想環境を提供することで、さまざまな開発案件に対応する。
仮想マシン数に比例して負荷が大きくなるネットワーク構成を一新し、全てのコンピュートリソースへネットワーク構成を分散することにより、ネットワークのワークロードを平準化する。仮想マシン数の多いテナントとネットワーク資源を共有すると性能が低下する課題を緩和しているという。
通信テナンシーやデータ暗号化などにより、内外部からの盗難や破壊およびDevaaSプロバイダーの特権からも情報は保護される。また、監査機能やログ管理も強化され、内部アクティビティの記録と追跡によるトレーサビリティを向上することで、セキュリティインシデントを未然に防止する。