ヌヴォトンの第4世代表示LSIが登場

ヌヴォトン テクノロジージャパンは5月20日、同社の車載向けHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)表示LSI「Gerdaシリーズ」の第4世代品を発表した。

同シリーズは、車載アプリケーション向けに高機能かつ高コストパフォーマンスなHMIソリューションを提供することを目的とした表示LSI。2007年にディスプレイオーディオ向けに提供を開始されて以降、車載メーターやリアミラー、サイドミラー、IVI、HUD、HAVCなどで活用されてきており、累計7700万個の出荷実績を有する。

  • Gerdaシリーズは2007年にディスプレイオーディオ向けに提供を開始

    Gerdaシリーズは2007年にディスプレイオーディオ向けに提供を開始されて以降、累計7700万個が出荷されているという (資料提供:ヌヴォトン、以下スライドすべて)

特長としては、電源を投入してから0.5秒以内に表示することが可能なことに加え、超解像技術やコンストラスト補正機能を搭載することで映像の視認性を向上することを可能としている。

ローカルコントラスト機能を搭載したGerda-4M

今回発表されたのは第4世代品となる「Gerda-4M/L/C」の3品種。いずれも量産を開始済みとする。

最上位品となるGerda-4Mファミリは、フルHD(推奨解像度は1920×480)に対応した製品で、HUDやEミラー(電子ミラー)をターゲットとしている。8MBもしくは10MBの内蔵RAMを搭載することで、外付けメモリなしで高機能なHMIシステムの構築を可能としているほか、多彩な映像処理エンジンと2.5D GFXを搭載することで、電子ミラーの視認性やAR-HUD、クラスタメータの表示機能を向上させることができるとする。

また、ローカルコントラスト機能を搭載しており、画像を複数エリアに分割し、局所的な輝度分布に応じてコントラストを調整することで、暗いエリアは輝度を上げて見やすくしつつ、ヘッドライトなどで明るいエリアは輝度を落として見やすくすることが可能なほか、OTAやセキュアブート機能も備えており、サイバーセキュリティリスクの低減も可能としている。

  • Eミラー向け技術の特長

    Eミラー向け技術の特長

さらに3Mピクセルのカメラ接続にも対応。広角表示や視点の切り替えにより、死角を低減することも可能だという。

独自の画像圧縮エンジンを搭載した「Gerda-4L」

ミドルレンジに位置づけられるGerda-4Lは、WXGA(1280×800)に対応した製品で、HUD、4輪車のメータ、2輪車のメータおよび4輪車のHVACをターゲットにしている。5MBもしくは6MBの内蔵RAMを搭載しているほか、DRAMレスで60fpsを実現したことに加え、独自の画像圧縮エンジンを搭載することで、視覚的に画質の劣化なく、通常の2倍相当のメモリ使用を可能としたことで、部品コストの低減ならびに基板スペースの削減を可能としたという。

また、HUD向け映像技術として、1フレーム以下の低遅延処理を可能とした歪み補正エンジンを搭載しており、HUDにおける2つの画面領域をそれぞれ別に表示する際に、遠近を使い分けつつ、歪みのない表示を可能とすることを可能としており、これによりドライバーの負担を低減することも可能としたとする。

  • HUD向け技術の特長

    HUD向け技術の特長

  • メーター向け技術の特長

    メーター向け技術の特長

コストを追及したGerda-4Cは、WVGA(800×480)に対応した製品で、3.5MBの内蔵RAMを搭載した製品で、Gerda-4L同様、HUD、4輪車のメータ、2輪車のメータおよび4輪車のHVACをターゲットにしている。

いずれも製品についても、セキュリティとしてEVITA-Full対応のHSMを搭載しているほか、セキュアブートやOTAに対応。また、ISO/SAE21434規格のTUVプロセス認証も取得済みだという。また、機能安全としてはASIL-Bに対応しているほか、表示安全機能を搭載し、映像での異常表示や警告表示の監視(テルテールチェック)などを可能としている。

  • セキュリティならびに機能安全関連の特長

    セキュリティならびに機能安全関連の特長

第5世代の開発も開始

なお、同社ではすでに第5世代Gerdaの開発も進めているとしており、将来的にはECUとの統合も検討を進めていくとする。ソフトウェアの開発と複雑さが増す中にあって、難しくなっていく機能安全の担保に向けたハイエンド統合システム向けという位置づけになる予定としている。

  • 各製品のターゲットアプリケーションと製品ロードマップ
  • 各製品のターゲットアプリケーションと製品ロードマップ
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