有人宇宙システム(JAMSS)は、民間宇宙ステーションとして世界初となる「Haven-1」の開発企業・米Vastと、同ステーションの利用サービスを提供するアジア初のペイロードパートナーとなる契約を締結。Haven-1向けの小型装置をJAMSSが新たに開発し、商業利用の拡大をめざす。

  • (左から)VastのCEOであるMax Hoat氏、JAMSSの有賀輝社長
    (C)Vast

  • Vastの民間宇宙ステーションのイメージ
    (C)Vast

JAMSSは1990年の創立以来、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の運用・利用を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに支えてきた企業。微小重力環境を活かした創薬研究の支援に向け、タンパク質結晶生成装置「Kirara」を開発し、利用サービスも含めてISS船内で提供してきた。Kiraraは、欧州企業・Space Applications ServicesがISSの欧州モジュールに設置した「Ice Cubes Facility」に搭載され、タンパク質結晶成長サービスを提供している。

2030年に予定されているISS退役の後(ポストISS)、地球低軌道(LEO:Low Earth Orbit)はそれまでの国主導から民間主導の経済圏へと変化することが見込まれる。JAMSSではISSで培った技術を生かし、Haven-1向けに新しい自社装置を開発。JAMSSが提供する利用サービスの拡充など、商業利用拡大に向けた取り組みを強化していく。

  • ISSで利用されているタンパク質結晶生成装置「Kirara」
    (C)ESA/NASA

JAMSSが開発中の新しい装置には、1U(10cm角)単位の小型装置の搭載スペースを備え、Kiraraでこれまで提供してきた結晶生成サービスから、“宇宙を身近に感じてもらうための記念品などの打ち上げ回収”といった、さまざまな利用機会を提供するとのこと。

なおHaven-1は2026年5月に打ち上げ予定で、ペイロードパートナーとしては、微小重力研究開発技術で世界的なリーダーとされるRedwireや、ヨーロッパの利用サービス提供企業・Yuriが参画しているとのこと。