デル・テクノロジーズ(以下、デル)はこのほど、個人およびビジネス用途向けのAI PCについて、ブランドの刷新を発表していた。同社は1月22日、記者説明会を開き、ブランド刷新の背景や狙いについて報告した。加えて、ビジネス向けに発売を開始するノートPC「Dell Pro 13 / 14 Premium」および「Dell Pro 14 / 16 Plus」を披露した。
3ブランドでシンプルな顧客体験を提供
新ブランドで展開するのは「Dell」「Dell Pro」「Dell Pro Max」の3シリーズ。デルはブランドの刷新に先立ち、約4年の時間をかけて法人顧客やパートナー企業、アナリストらへの調査を実施。その中で「『デル』製品を使用していることは認知しているものの、各カテゴリ名やブランド名の認知は低い」という課題が浮き彫りになったそうだ。
つまり、ユーザーは同社がこれまで提供してきた「Inspiron」「XPS」「Latitude」といった既存ブランドの製品ポートフォリオまでは把握していなかったというわけだ。そこで同社は、シンプルなブランド名に統一することで、製品選定やサポート時のスムーズな顧客体験を促す。なお、すでに販売している既存製品については従来通りのネーミングで販売を継続。今後登場する新製品から、新ブランド名で市場に投入する。
クライアント製品のブランドマーケティングを担当する佐々木邦彦氏は、ブランド刷新について「より多くのお客様に認知されている『デル』という名称に注力したい。また、既存のポートフォリオでは製品選定時の比較が難しかったので、顧客体験をシンプルにしたい。加えて、オンラインでの購買体験もシンプルなものにしたい」と、3点の狙いを挙げて紹介した。
「Dell」シリーズはコンシューマーや学生、零細・中小企業向けの製品を展開する。法人向けブランド「Dell Pro」シリーズは管理されたIT環境下で使用するプロフェッショナル向け製品であり、最上位版の「Dell Pro Max」シリーズはワークステーションなどより高い性能を求めるユーザー向けの製品を展開する。
「Inspiron」や「XPS」など既存ブランドで展開してきた「3000」「5000」「9000」といった階層構造も、新ブランドではよりシンプルな3階層となる。基本的なパフォーマンスを持つベースモデルは従来の「3000」シリーズの後継に相当する。幅広い選択オプションと高い拡張性を備える「Plus」は従来の「5000」または「7000」シリーズの後継モデル。最高級のモビリティ性とデザイン性を備える「Premium」は従来の「7000」または「9000」シリーズの後継にそれぞれ当てはまる。
モニターブランドや周辺機器ブランドもシンプルに
デルはAI PCブランドの刷新と並行して、モニターや周辺機器、カスタマーサービスのブランド名も統一する。PC製品についても新しいモデル番号の割り当てを発表した。
モニターブランドの統一
デルはこれまで、ビジネス用途向けのモニターである「Pシリーズ」および「Eシリーズ」、コンシューマー向けである「Sシリーズ」および「SEシリーズ」をそれぞれ提供してきた。今回これらのブランドを刷新し、ビジネス用途向けの「Dell Pro Plus」「Dell Pro」、コンシューマー向けの「Dell Plus」「Dell」に変更する。なお、最上位モデルの「Dellデジタルハイエンドシリーズ」は引き続き個人・法人問わずに継続する。
周辺機器ブランドの明確化
デルはこれまで、キーボードやマウスといった周辺機器については個別のブランド名を定めていなかった。今後は個人向けの「Dell」と法人向けの「Dell Pro」をそれぞれ明確に打ち出す。法人向けの「Dell Pro」はさらにグレードに応じて「Dell Pro Premium」「Dell Pro Plus」「Dell Pro」に分類される。
個人向けサービスブランドを変更
デルは個人向けのカスタマーサービスの名称を、従来の「Dell Premium Support Plus」および「Dell Premium Support」から、「Dell Care Premium」「Dell Care Plus」へとそれぞれ変更する。法人向けの「Dell ProSupport」「Dell ProSupport Plus」は変わらない。
5つの要素でモデル番号が決定
デルが今後発売する製品は、新しい規則でモデル番号が割り当てられる。5つの要素とは、「製品カテゴリー」「製品階層」「フォームファクタ、スクリーンサイズ」「販売開始年」「CPUベンダーなど」だ。下図の例のように、Dell 13 Premiumであれば「DA13250」となる。
「Dell Pro 13 / 14 Premium」および「Dell Pro 14 / 16 Plus」を発表
デルは新ブランドの下で、「Dell Pro Premium」シリーズおよび「Dell Pro Plus」シリーズからそれぞれ新製品を発売する。
Dell Pro 13 / 14 Premium
クライアント製品のブランドマーケティングを担当するコンサルタントの白木智幸氏は、Dell Pro Premiumシリーズについて「最新のテクノロジーやプレミアム感を惜しみなく投入した旗艦モデル」だと紹介した。
Dell Pro 13 / 14 Premiumはその名の通り、13インチおよび14インチの筐体。Intel Core Ultraプロセッサ シリーズ2(V)を搭載し、Copilot+ PCの要件を満たす。バッテリー駆動時間は最大21.2時間、日常的なタスクのパフォーマンスは最大19%向上したほか、AIは3.5倍高速化しているという。
また、全世代モデルの製品と比較してエアフローを約20%向上したデュアルファンサーマルソリューションを搭載。2台のファンを搭載したことで冷却効率が向上した。また、高負荷時においても従来と比較して低速でファンを回せるようになったことで、静音化も実現した。
USBポートにはモジュラー型USB-Cポートを採用。従来はモジュラーをマザーボードにはんだ付けしていたが、ネジ式とすることで最大約4倍のねじれ耐久性を持つ。ポートの不調時はモジュラーのみ交換すればよく、マザーボード全体を交換する必要がなくなったため、ダウンタイムの短縮と廃棄物の減少につながる。
14インチ版のみではあるが、従来のOLEDディスプレイよりも24%電力効率が高く49%軽量なTandem OLEDを選択可能。深い黒色や鮮やかなカラーなど色の再現性が特徴。100万対1のコントラスト比の高さがある。
Dell Pro 14 / 16 Plus
Dell Pro Plusシリーズからは14インチおよび16インチの2製品を販売開始する。Intel Core Ultraプロセッサ シリーズ2(V)を搭載しCopilot+ PCであるなど、いくつかの性能はDell Pro Premiumと共通する。
Dell Pro Plusは幅広いユーザーのニーズに対応するため、豊富なカスタマイズ性が特徴。14インチはノートPCだけでなく2 in 1のタブレットPCも選択可能。また、後日提供予定ではあるが、最大64ギガバイトまで対応可能なDDR5メモリ Uプロセッサを搭載。