ルネサス エレクトロニクスは11月11日、ニデックと共同で、電気自動車(EV)向けのE-Axleとして、1個のマイコンで8機能を制御する「8-in-1」の概念実証(PoC)を開発したことを発表した。
2023年開始のE-Axle開発に向けた協業が結実
モビリティの電動化が進む中で注目を集めるE-Axleは、駆動モータ・ギヤ・インバータなどを統合したEV向けユニットで、多くの機能を統合することで、小型化や軽量化に加えEV設計の簡素化を実現すると期待されている。そうした中でルネサスとニデックは2023年、E-Axleの半導体ソリューション構築に向けたPoCの開発で協力することを発表。そして今般、8-in-1システムとしてのPoC開発に至ったという。
ルネサスは、同システムにおける半導体および電子設計のリファレンスデザインを開発。また今回のPoCには、ニデックのモータ・ギヤに加え、ルネサスが設計した最大効率99%以上で70~100kWの出力が可能なインバータ、1.5kW出力DC/DCコンバータ、6.6kW充電オンボードバッテリチャージャ(OBC)、配電ユニット(PDU)、バッテリマネジメントシステム(BMS)、PTCヒータ(熱マネジメント)制御の8機能が含まれるという。
そして制御の面では、1つのマイコンとパワーマネジメントIC(PMIC)だけすべての機能を制御できるようシステムを統合したとのこと。これにより、機能ごとにマイコンとPMICのペアが必要されていた従来の設計に対して、部品点数とコストを大幅に削減し、小型化を実現したとしている。
また同PoCには、ルネサスの車載制御用32ビットマイコン(RH850/U2B)、マイコン用PMIC、絶縁ゲートドライバ(RAJ2930004AGM)、インバータ用IGBTモジュール、DC/DCコンバータおよびOBC用パワーデバイスなどのルネサス製品が含まれており、システムレベルでの動作評価を完了し、期待通りの性能を発揮することが実証されたという。