日本電信電話(以下、NTT)は11月7日、2024年度第2四半期(中間期)の決算説明会を開催した。連結業績として、営業収益は6兆5906憶円で対前年同期比で2261憶円増(+3.6%)となったものの、営業利益は9203憶円と307憶円の減益(-3.2%)となった。営業収益は第2四半期としては過去最高益を更新した。

EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた利益)は前年比で125億円増(+0.7%)の1兆6856憶円だった。データセンターをはじめとする成長領域でのキャッシュ創出が奏功した。

社長の島田明氏は「詳細は公表していないものの、第2四半期までは社内計画を上回る結果となった」と振り返りコメントしていた。

さらに、島田氏は「引き続き、顧客基盤の強化とネットワーク品質の向上を確実に実行しつつ、連結利益計画の達成に向けてコスト効率化の加速と法人ビジネスの拡大に取り組む」との展望を示した。

  • NTT 代表取締役社長 社長執行役員 島田明氏

    NTT 代表取締役社長 社長執行役員 島田明氏

セグメント別の決算概況

事業セグメント別に見ると、総合ICT事業の営業収益は前年比474憶円増となる2兆9938憶円となった一方で、営業利益は274憶円減の5533憶円。モバイル通信サービスで収入減少があったものの、スマートライフ領域で金融・決済サービスが拡大した。

地域通信事業は営業収益が262憶円減の1兆5008憶円、営業利益が249憶円減の1913憶円と減収減益となった。ネットワーク収入の減少と災害復旧事業の稼働増加が影響した。光通信サービスでは10ギガプランやマンション向けプランなどが伸びているという。

「収益と利益は共におおむね想定通りの進捗であり、中期的な成長に向けて、事業の選択と集中やオペレーション業務の抜本的なコスト構造の見直しに積極的に取り組む」(島田氏)

グローバルソリューション事業は国内での公共金融法人分野での増収に加え、為替の影響や海外のデータセンター事業の好調などを受け、営業収益が1616憶円増の2兆2401憶円、営業利益が271憶円増の1490憶円だった。

その他事業(不動産・エネルギーなど)は営業収益が427憶円増の7908憶円、営業利益が33億円増の375憶円となった。NTTアーバンソリューションズにおけるデータセンターエンジニアリング事業が好調だという。

  • 事業セグメント別の収益

    事業セグメント別の収益

  • 中期経営計画に対する進捗

    中期経営計画に対する進捗

株式分割で株主が2.7倍増

NTTはこれまで、継続的に増配してきた。2024年度は5.2円となる見込みだ。2024年4月のNTT法改正を受けて、中間配当の支払日を半月ほど前倒しした。参考までに、2023年度の中間配当支払開始日は12月18日、2024年度は11月29日。

  • 配当の推移

    配当の推移

自己株式の取得については、2025年3月末までの2000憶円を上限とする計画に対し、2024年10月末時点で883憶円となる。ほぼ予定通りの進捗だという。

  • 自己株式取得の推移

    自己株式取得の進捗

株主数に関して、株式分割前の2023年3月末と比べ、2.7倍となる244万人まで増加したという。実に152万人の増加であり、過去最高とのことだ。年齢構成にも変化が見られ、特に20代以下の株主が2020年12月時点で1%であったのに対し、2024年9月では10%となっている。同様に、30代も3%から16%まで拡大している。

  • 株主数が顕著に増加している

    株主数が顕著に増加している