SUSEは10月1日、エッジソリューションに関する説明会を開催した。SUSEソフトウエアソリューションズジャパン Head of Solution Architect, Japan 志方公一氏は、エッジが同社の主要製品の三本柱の一つであると説明した。残り2つの主要製品は「ビジネスクリティカルLinux」と「クラウドネイティブ」だ。

  • SUSEソフトウエアソリューションズジャパン Head of Solution Architect, Japan 志方公一氏

志方氏は、いずれの製品においても「オープン」がキーワードと語った。「当社は創業以来、一貫して、オープンがイノベーションを加速することを体現している」(同氏)

さらに志方氏は、「日本の市場におけるエッジのポテンシャルは大きい。特に、主要産業である製造、小売り、ヘルスケアをサポートしていく」と説明した。

3つのセグメントから構成されるエッジ

続いて、SUSE General Manager for Edge Computing Business Unit キース‧バジル氏が、同社のエッジコンピューティングにおける取り組みについて説明した。同氏は、「エッジがどういうものか、根本的なところから理解してもらいたい」と述べ、同社が考えるエッジの説明から始めた。

  • SUSE General Manager for Edge Computing Business Unit キース‧バジル氏

バジル氏は、SUSEが考えるエッジコンピューティングが、「Nearエッジ」「Farエッジ」「Tiny(産業IoT)エッジ」という3つのセグメントで構成されていると述べた。

Nearエッジには、いわゆる通信事業者やコミュニケーションサービスプロバイダーが相当し、5Gがデプロイメントされ、無線によるアクセスが存在する状態だという。Farエッジとはアクセスポイントを介してつながっている。

NearエッジにつながるFarエッジは、多様なエッジのユースケースがあり、多くのマシンが存在している。バジル氏はクルーズ船を例に挙げ、「物理ロケーションを固定的に考える必要はない」と述べた。

Tinyエッジは産業IoTの世界であり、「標準のLinux、kubernetesを入れることができないほど小さなデバイス」(バジル氏)が基本となる。ソフトウェアを用いてデバイスの検出は可能であり、通信できるため、データを収集して端末のステータスを可視化できるという。

  • SUSEが考える、3つのセグメントから構成されるエッジコンピューティング

エッジプラットフォーム「SUSE Edge」の特徴とは

同社はこうしたエッジを実現するプラットフォームとして、「SUSE Edge」を提供している。「SUSE Edge」は、Linux、開発・運用ツール、セキュリティツール、Kubernetesから構成されている。

「エッジプラットフォームは、Linuxレイヤーの上にkubernetesのレイヤーがあり、両者を組み合わせて使えるようにラップしている。また、スケールして利用できるよう、ツールも整備した。すべてのスタックにセキュリティが利いている」(バジル氏)

  • SUSEのエッジプラットフォームの仕組み

バジル氏は、このエッジプラットフォームの特徴として、検証済みのモノを提供することに注力していることを挙げた。例えば、Linuxとkubernetesは進化が異なるが、これらを検証済みの状態でフレームワークを提供する。 また、バジル氏は「当社はオープンソースのDNAがあるので、スタックの検証のフレームワークも公開している。そのため、誰もがスタックの検証結果を確認できる」と述べた。」

エッジの成功の秘訣は「オープン」

そして、バジル氏は「オープンであることが成功の秘訣」と語った。現在、たくさんのオープンソースコミュニティが存在するが、エッジに関するコミュニティも立ち上がっているという。

その一つに「margo」がある。margoはエッジの相互運用性を実現することを目的に、今年4月に立ち上げが発表された。ラテン語で「エッジ」を意味する言葉に由来する「margo」は、エッジアプリケーション、エッジデバイス、エッジオーケストレーション ソフトウェア間の相互運用性を実現するメカニズムを定義する。margoは、SUSEのほか、Microsoft、Rockwell Automation、Schneider Electric(AVEVAを含む)、Siemensなどによってサポートされている。

SUSEは、Project Sylvaというオープンソースコミュニティにも参加している。このコミュニティの目的は、通信事業者とエッジの要件に合わせたリファレンス・オープンソース・クラウドソフトウェア・フレームワークを提供することだ。

バジル氏によると、SUSEはLinuxとkubernetesがある状態で、Sylvaに参加し、専任のエンジニアを提供しているという。同氏は、コミュニティに専任のエンジニアがいると、製品化の際にメリットがあると述べた。

「例えば、フレームワークのバージョン1.0ができた時に、スピーディーに商用インプリを展開できる。また、コミュニティに参加することで、業界における影響力を高めることができる」(バジル氏)

さらに、バジル氏は「われわれはアップストリームのコミュニティを大事にしており、積極的に支援している。エッジにはさまざまな課題があるが、知恵を結集することで、よりよいソリューションの提供を目指す」と語っていた。