商品管理にICタグラベルの導入が進む中、医療業界では厳格な品質管理が求められ、それぞれ用途に合わせた複数のタグが必要となり運用・コスト面で課題となっていた。TOPPANホールディングスのグループ企業TOPPANデジタルは9月5日、この問題を解決する遠・短両距離に同時対応する開封検知機能付きデュアルICタグラベルを開発、10月より販売することを発表した。

医療業界向けに在庫管理と商品情報閲覧の遠近対応の開封検知ICタグラベル

開封検知機能付きデュアルICタグラベル(同社資料より)

同社のデュアルICタグラベルは医療業界向けに開発されたICタグで、1枚で遠距離用のUHF/短距離用のNFCに対応しつつ、両周波数帯で開封検知も可能とする機能を持つ。開封検知機能は、開封時に回路部が切断される仕様となっており切断前後で読み取りデータを変化させることで検知を可能とする。遠距離用のUHFは物流在庫管理に適しており、短距離用NFCは現場での商品情報の閲覧に活用されているため両機能を持たせることで医療の現場・保管庫と合わせた製品のトレーサビリティを実現し、商品の誤投与防止や適切な服薬管理などに貢献する。

医薬業界では患者の安全安心のため特に厳しい品質管理が求められるが、それら厳格な基準に対応するために在庫管理用の長距離用UHFラベル、医薬品の真贋判定用、商品情報閲覧用の短距離用NFCラベルなど、用途に合わせた複数枚のタグラベルが必要となるため、運用やコスト面での課題もあった。同製品により1枚のタグで物流在庫管理と商品情報閲覧が可能となり、医療現場でのICタグラベルの本格的な導入やそれに伴う医療現場のDXも期待される。

  • 開封検知機能付きデュアルICタグラベルの利用イメージ(同社資料より)

TOPPANデジタルは、既に医療業界向けにγ線滅菌対応NFCタグやバイアル瓶内蔵の真贋判定用小型セキュアNFCタグなどを販売している。同製品を病院や医療製品の物流管理業務を行う関連企業向けに提供することで、売上目標は関連受注を含め2025年度までに約20億円としている。