【国土交通省】羽田空港の国内線発着枠 見直しは延期へ

国土交通省の有識者委員会が航空各社への羽田空港の国内線の発着枠について、配分の見直しの延期を柱とする報告書をまとめた。

 過去5年間の航空各社の実績などを踏まえ発着枠を再配分するのが通例だが、今回の評価期間(19~23年度)は新型コロナウイルスによる影響が大きく、「評価することは困難」と結論付けた。各社が火花を散らした議論の結論は28年に先送りとなった格好だ。

 国内旅客の約6割を占める羽田空港の国内線発着枠は各社の収益を左右する「ドル箱路線」と呼ばれ、国交省は羽田空港を混雑空港に指定している。安全な運航と適切な競争環境を確保するため、過去の発着枠の使用状況などを基に評価し、通常5年に一度発着枠を回収、再配分している。

 対象の航空会社である日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、スカイマーク、ソラシドエア、エア・ドゥ、スターフライヤーの経営陣もオブバーザーとして、議論に参加。

 議論が白熱したのが、ソラシドエア、エア・ドゥ、スターフライヤーの3社がANAと実施するコードシェアの扱いだ。コードシェアとは、ANAが3社の座席の一部を買い取り販売することで、3社の搭乗率の向上に寄与する仕組みだ。

 JALが「羽田でのコードシェアの廃止」を訴えたのに対し、ANAは「国内線をどう健全で持続的に発展させるかが非常に大きな課題」とし、大手航空2社と比べ事業規模の小さいソラシドエアをはじめとする3社が路線や便数を維持するために必要と主張した。

 報告書案を示した有識者委員会で平岡成哲航空局長は、「コロナ禍を経て持続可能な成長軌道をどう描いていくかが課題。今回議論が尽くせなかった部分もあり、今後に持ち越された部分も多々ある」と述べ、なお議論する余地があるとの認識を示した。

「ドル箱路線」の羽田の発着枠を1枠でも多く勝ち取るため、航空各社は4年後に向け取り組みを加速させそうだ。

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