台Vanguard International Semiconductor(VIS)とNXP Semiconductorsは6月5日、シンガポールに300mm(12インチ)ウェハファブを建設する合弁会社「VisionPower Semiconductor Manufacturing Company(VSMC)」を共同で設立する計画を発表した。
このウェハファブは、130nm~40nmの特殊(Specialty)プロセス技術を用いて、自動車、産業用、家庭用電化製品、モバイル機器などの最終市場のニーズをサポートするミクスドシグナル、パワーマネジメント、およびアナログ製品を生産する予定だという。VISは、1994年末にTSMC創業者のMorris Chang氏が台湾新竹にいわばTSMCの協力会社として設立し、現在もTSMC傘下にあり、新工場にはTSMCが関連技術のライセンス供与と技術移転する予定になっている。
この合弁事業は、関連規制当局の承認を得た後、2024年下半期に最初のウェハファブの建設を開始し、2027年に量産を開始する予定だという。この合弁会社は独立したファウンドリとして運営され、生産能力の一定割合をVISとNXPに提供する見通しで、2029年には月産能力が5万5000枚に到達する計画としている。また、約1500人の雇用機会が創出されることが期待されるともしている。さらに、最初のウェハファブの大量生産が成功した後、両社は2番目のウェハファブの建設を検討するとしている。
最初のウェハファブの投資額は約78億ドルで、VISが24億ドルを投資し、株式の60%を保有、一方のNXPが16億ドルを投資し、株式の40%を保有する。両社は、長期的な生産能力向上のためのインフラ整備に合計19億ドルを追加投資することも合意しており、残りの資金(借入金を含む)は、第3者からから提供される予定になっている。ウェハファブの運営はVISが担当する。
VISは現在、台湾に4つの200mmファブ、シンガポールに1つの200mmファブ(元GlobalFoundriesの工場)を持つ特殊技術のレガシーファウンドリで、Bipolar-CMOS-DMOS、UHV(超高耐圧)、SOIなどの特殊技術を得意としており、合計月産能力は27万9000枚(2023年、200mmウェハ)としている。シンガポールに建設される今回のファブは同社にとって初の300mmファブとなる。
VISのFang Lue会長は、「VISは世界的な半導体リーダーであるNXPと協力して、当社初の300mmウェハファブを建設できることを非常にうれしく思っている。このプロジェクトは長期計画に沿ったものである」と述べている。一方のNXPの社長兼最高経営責任者(CEO)であるKurt Sievers氏は、「NXPは長期的な成長目標をサポートするために、コスト競争力、サプライチェーン管理、地理的回復力を備えた製造拠点を確実に確保するために積極的な行動を継続していく。VISは300mmウェハによるアナログおよびミクスドシグナルのファブ運営を十分に理解しており、VISとの合弁事業パートナーシップは、NXPの理念と完全に一致している」と述べている。