ドイツ連邦カルテル庁は11月7日、TSMCが設立した欧州での半導体製造会社「European Semiconductor Manufacturing Company(ESMC)」の株式をBosch、Infineon Technologies、NXP Semiconductorsがそれぞれ10%ずつ所有することを承認したと発表した。

ESMCは独ドレスデンに大規模な半導体工場を建設・運営することを計画しており、そこに欧州を代表的する半導体企業3社が参画することが正式に承認されたことになる。

ドイツ連邦カルテル庁では、ESMCの工場運営に欧州企業3社が参画することで、3社以外の顧客が自社のビジネスにとっても重要となる半導体にアクセスする際に、障害が生じる可能性があるのかどうかを評価したとするほか、この参画によりTSMC/EMSC以外のファウンドリが特定の製品に対する十分な顧客を確保できなくなる可能性の程度を検討したとする。

中でも3社が主要企業として存在感を示す車載マイコンについては入念な評価を行ったとするが、最終的には懸念の余地はないとの結論に至ったとしている。

ESMCの直接の競合となるGlobalFoundries(GF)もドレスデンに工場を有していることもあり、Bosch、Infineon、NXPおよび、それらの競合各社に必要となる半導体を提供する有力なサプライヤがドイツ国内に複数社存在することとなる点も評価された模様である。

世界中で必要となる半導体のドイツでの生産能力が増加すること、ならびにそうしたファウンドリで製造される半導体は幅広い最終製品に適用されていき、そうした半導体の需要は確実に増加していくことが予想されるため、ドイツ連邦カルテル庁では、最終的に顧客へのアクセスが大きく妨げられることになると考える理由は見いだせないと結論付けたとする。

今回の承認は、TSMCが欧州進出に際してBosch、Infineon、NXPという大口顧客3社を工場建設前から獲得したことを意味しており、ESMCは創業初期から安定した経営が可能となる見込みがでてきた。