TrendForceによると、2023年に大手メモリメーカー各社が減産を継続して行ってきたこともあり、市場の需給バランスが回復してきており、メモリメーカー側が価格の決定権を取り戻しつつあるという。すでに2023年第3四半期にメモリ市場は底を打ち、回復の傾向がでてきているという。
同社の調査では、DRAM全体の価格は2021年第4四半期より下落を開始、2023年第4四半期にようやく本格的な回復感が出始めてきた。実に8四半期にわたって価格下落が続いたことになる。一方のNAND全体の価格は2022年第3四半期から下落を開始、2023年第3四半期より反発が始まったという。
しかし、需要回復に伴って価格は上昇に転じたが、需給のバランスが整うためには継続的な在庫削減が必要で、そのためにはメモリサプライヤ各社は減産を続けることが求められるとTrendForceでは指摘しており、メモリサプライヤ各社が生産能力を適切に制御できれば、メモリの平均価格は上昇を続ける可能性があるとしている。
上昇基調となった2023年下半期のメモリ価格
TrendForceによると、DRAMのベンチマーク製品と考えられるDDR4 8GBの契約価格は2023年10月に前月比15.4%増の1.50ドルと、2021年7月以来の上昇率となった。その後も同製品の契約価格は上昇を続けており、11月は同10%の上昇となる1.65ドルに達している。また、その他のDRAM製品の契約価格も2023年10月におおむね約10%の上昇となったという。
一方のNAND業界はメジャーサプライヤ各社が収益性の向上に向けて今後も積極的な値上げを続けるだろうとTrendForceは予測している。大手メーカーが損益分岐点に達するには、価格が再び40%以上上昇する必要があると予想されており、利益を確保するためには、将来の価格上昇は少なくとも50%、あるいはそれ以上にする必要があると見られるという。
なお、TrendForceの調査によれば、NAND市場は2023年第3四半期に前四半期比2.9%増となったほか、第4四半期も同20%増以上の成長率が見込まれているとする。メモリサプライヤ各社は、DRAMに比べNANDの方が収益性が低いことから、大手になるほど積極的にNANDの減産を進めているという。例えばSamsungは2023年9月以降、最大128層までの製品を中心に、NANDの減産幅を総生産能力の50%にまで拡大している。在庫の削減を進め、価格を安定化させることが目的であり、在庫の安定化が進めば、2024年には段階的に値上げに向かう見通しだという。