laed=imecと三井化学は、EUV露光用のカーボンナノチューブ(CNT)膜を使用した次世代ペリクルの事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結したことを発表した。

ベルギーの独立系半導体ハイテク研究機関であるimecと、EUVペリクルのサプライヤーである三井化学は、EUV露光用のカーボンナノチューブ(CNT)膜を使用した次世代ペリクルの事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結したことを発表した。

この提携により三井化学は、自社のCNTペリクル技術にimecの持つCNTペリクルの基盤技術を融合させ、2025年から2026年をターゲットに高出力EUV露光向け製品の導入を目指すという。

  • imecと三井化学のパートナーシップ契約締結式

    imecと三井化学のパートナーシップ契約締結式で握手を交わすimecワールドワイドストラテジックパートナシップアンドストラテジー担当SVPのThomas Piliszczuk氏(左)と三井化学の専務執行役員ICTソリューション事業本部長の平原彰男氏(右) (出所:imec/三井化学)

今回の戦略的パートナーシップ契約はCNT膜とペリクルを共同開発するもので、imecは三井化学での事業化に向けたコンサルテーションとEUV露光機での評価を行う。

これらのペリクルは、EUV露光中の汚染からフォトマスクを保護するように設計され、高いEUV透過率(≧94%)と低いEUV反射率など優れた光学特性、先端半導体製造における高い歩留まりとスループットに不可欠な特性を有することになるため、EUV露光装置を量産適用しているデバイスベンダー各社からも注目されているという。また、CNTペリクルは1kWを超えるEUV露光の出力にも耐えられるため、ASMLの次世代EUV露光装置(>600W)にも対応可能だとしている。

  • EUVリソグラフィ用のCNT膜を使用したペリクルの試作品

    EUVリソグラフィ用のCNT膜を使用したペリクルの試作品 (出所:imec)

imecのアドバンストパターニング、プロセス、マテリアル担当シニアバイスプレジデントであるSteven Scheer氏は今回のパートナーシップに際し、「imecは、長年にわたり、半導体エコシステムをサポートし、露光装置のロードマップを推進してきた。2015年以降、imecはサプライチェーン全体のパートナーと協力し、先進のEUV露光に向けた革新的なCNTペリクルデザインを開発してきた。こうして得られたCNT膜の計測、特性評価、特性、性能に関する知見は、三井化学の製品開発を加速させることにつながることから、協力して次世代EUV露光に向けてCNTペリクルの製品化を果たしていきたいと考えている」とコメントしている。

なお、ASMLのEUV露光装置ロードマップでは、2025年から2026年にかけて、2nmを超えるロジックテクノロジー ノードの採用と関連し、次世代の0.33NA EUV露光装置の出力が600W以上となることが見込まれており、その時期に新たなペリクルの導入が見込まれることとなる。