NXP Semiconductorsは11月2日、高分解能レーダー向けソフトウェアのスタートアップ企業である米Zendarへの出資と協業を発表した。
今回の投資についてNXPでは、自律走行(AD:Autonomous Driving)と先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)向けの高分解能レーダー・ソリューションの開発速度の加速と性能の向上、およびレーダー製品ラインナップの充実を目的としたものだと説明している。
今回の出資に伴い、NXPはシステムソリューションのアプローチを簡素化するZendar製の分散開口レーダー(DAR:Distributed Aperture Radar)技術を活用することが可能となり、車載レーダー・アプリケーション向け高分解能レーダー・システムの強化が可能となり、車載レーダー市場におけるNXPの技術ならびにエコシステムが強化され、道路交通安全の向上に向けた取り組みを次の段階に引き上げることになるともしている。
ADやADAS分野では自動車の安全走行を実現するために高分解能センシングが求められるが、Zendarが開発した分散口径レーダー(Distributed Aperture Radar:DAR)は多数のアンテナ・チャンネルを用意せずに、高性能レーダー・システムの分解能を向上させることのできるスマートなアプローチを提供する技術であり、自動車に搭載された複数のレーダー・センサからのデータをコヒーレントに集約し、実効アンテナを大型化することで、これまでにないセンシング分解能を実現することが可能となり、2度から4度の間で動作する従来型レーダー・センサに比べて0.5度未満という高い角度分解能が実現され、周囲の精密なマッピングに不可欠なLiDAR並みの性能を提供するという。また、柔軟な設置も可能であり、分解能をさらなる向上も可能だという。
このレーダー・ソリューションはNXPのS32Rレーダー・プロセッサ・プラットフォームとRFCMOS SAF8x SoCをベースに構成される予定で、車載OEMの多様化する車両アーキテクチャに合わせてカスタマイズ可能なため、分散型アーキテクチャへの移行が加速することになるとNXPでは説明しており、これにより自動車メーカーやTier 1サプライヤは熱的な課題の軽減、レーダーのフットプリント小型化による設置の柔軟性と利便性の向上を含む、簡素化された標準レーダーで開発された高分解能システムのメリットを提供できるようになるとしている。