大日本印刷(DNP)は11月1日、同社が2023年6月から提供している「DNP GreenAD」について、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングにおいてトライアル運用を行ったと発表した。通常設計と比べてCO2排出量を58.1%削減でき、CTRが2.2倍に向上したという。

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DNP GreenADは、デジタル広告配信の過程で発生するCO2排出量を計測し、その削減を支援するというサービス。

デジタル広告が目的に適したインターネット上の広告枠をリアルタイムかつ自動的に買い付けて広告を表示する際に、データ処理やコンテンツ配信などを行うサーバーの稼働やネットワーク上の通信量などでエネルギーを消費しCO2も排出している。

こうした環境負荷の低減に向け、CO2排出量を計測すると共に、排出量削減につながる広告配信の設計を提案し、その実現を支援している。

ユニリーバ・ジャパンにおけるトライアル運用では、同社のエコポイント・プログラムである「UMILE(ユーマイル)プログラム」の認知訴求を目的として、デジタル広告配信を行った。

まず通常設計で広告のターゲットを設定し、広告入札取引を通じて一定期間広告を配信した。その後の環境配慮型設計では、通常設計時のCO2排出量と広告効果を計測し、広告配信先ごとに抽出したCO2排出量と広告効果のデータに基づいて広告設計を調整した。この環境配慮型設計と通常設計の広告配信を共に、同一期間で実施したとのこと。

通常設計・環境配慮設計の共通で、1)同じユーザーへの同一広告の配信(フリークエンシー)の調整および、2)通常のオープン・オークション(多様な広告媒体と即時・自動で行う入札取引)ではなく、PMP(広告主と親和性の高い媒体を選定するクローズドな入札取引)での配信の、CO2排出量の削減につながるという2つの取り組みを実施した。

効果検証では、通常設計と環境配慮設計の配信結果を比較し、CO2削減率と広告効果の変化を検証したという。

ここでは、CO2排出量および、ユーザーへの広告表示回数のうち広告がクリックされた回数の割合(CTR)を評価指標とした。また、期間内の広告予算とCPM(Cost Per Mille、広告表示1000回あたりの費用)を同条件とした。

その結果、環境配慮型設計では通常設計と比較して58.1%のCO2排出量削減と、2.2倍の広告効果が確認できたという。これにより、CO2排出量削減と広告効果が両立できる結果になったとしている。

今後DNPは脱炭素社会の実現に向けて、同サービスの提供先を拡大していくという。

広告主などが環境に配慮した広告配信を実践していることを生活者が意識できる啓発活動や、環境負荷が低いWebサイトの構築なども行っていくとのこと。また、広告代理店や媒体各社も含めた多様なステークホルダーと連携し、デジタル広告のサプライチェーン全体でカーボン・ニュートラルの実現に取り組んでいく予定だ。