TrendForceが2023年第2四半期における半導体ファウンドリの売上高ランキングトップ10を発表した。
それによると、同四半期のトップ10社の売上高合計額は、前四半期比約1.1%減の262億ドルにとどまったという。第1四半期も同18.6%減を記録しており、2四半期連続でのマイナス成長となった。
第2四半期は、テレビ向け部品の在庫削減に加え、TDDI 需要を押し上げているモバイル分野の需要の増加による発注量の増加が押し上げ要因となったとみられるが、これらは一時的な現象で、第3四半期までに落ち着く可能性が高いという。一方で、スマートフォン(スマホ)、ノートPCなどの市場は依然として低迷が続いており、高価な先端プロセス品を採用する最終製品の不振が続いているという。併せて、自動車や産業機器、サーバといった伝統的に安定度が高い市場でも在庫調整が続いており、結果として押し上げ要因はあったものの、全体としては売り上げが減少することになったとTrendForceでは分析している。
順位的にも1位から9位まで第1四半期から変化はなかった。10位には、前回ランクインの韓DB Hitekに代わり、中Nexchipが入ってきたことが異なる点。Nexchipは中国内のディスプレイメーカーからの緊急注文が予想外に伸び、中でもLDDITDDIコンポーネントの需要の急増があったことが背景にある模様である。
多数のファウンドリの業績は第3四半期に安定化へ
業界トップのTSMCの売上高は前四半期6.4%減の156億6000万ドルで、7/6nmプロセスが増収も5.4nmプロセスが減収となったという。ただし、第3四半期については、次世代iPhone向け需要、3nmプロセスの生産開始などが追い風となり、成熟プロセスの売り上げ停滞を補うことで、収益の安定化のみならず増加も期待できるとTrendForceでは分析している。
2位のSamsung Electronicsのファウンドリ事業の売上高は同17.3%増の32億3000万ドルと躍進したが、代わりに第3四半期にスマホ、PCなどの需要減による減収が生じる可能性があると見られるという。3位のGlobalFoundries(GF)の売上高は同0.2%増の約18憶5000万ドルの横ばいを維持。スマホや自動車が伸びたがネットワークが減速した結果だという。第3四半期については、米国の航空宇宙や防衛からヘルスケアに至るまで、特殊なニッチ分野での長期契約や自動車向けの長期契約(LTA)の恩恵を受ける形で安定した経営が期待できるとしてえる。4位のUMCはテレビおよびWi-Fi SoCの緊急注文の増加により売上高は同2.8%増の18億3000万ドルとなったが、第3四半期については、緊急注文の減少から稼働率と収益ともに減少する見込みだという。5位のSMICは、200mmウェハの収益が減少したものの、300mmウェハがドライバIC各種ならびNORフラッシュ、MCUなどを含む中国でのチップ代替の動きに押され売上高を同9%ほど伸ばし、結果として同6.7%増の15億6000万ドルとなったという。第3四半期も出荷数量と稼働率の改善が続き、収益は伸びる見込みであるという。
なお、全体的に2023年第3四半期はAI半導体の注文増などもあり、少なくともトップ10社の売上高は同四半期に底を打ち、その後徐々に成長に向かう可能性が高いとTrendForceでは予測している。