TSMCが、現在建設中の台湾南部の高雄の半導体工場に最先端となる2nmプロセスの導入を決定したと複数の台湾メディアが報じている。

同社は、台湾北部の本社近くに建設中のFab20で2025年より2nmプロセスの量産を開始する計画だが、高雄でも同時期より2nmプロセスでの量産を開始するようである。

このほかにも同社は、台中にあるFab 15でも将来的に2nmプロセスで量産を行う計画で、既存ファブに隣接する土地を買収手続き中だという。TSMCは、他社に先駆けて2nmプロセスの量産を開始する見込みだが、その規模も台湾域内3か所で実施するという異例とも言える生産体制を構築することとなり、この生産規模を背景に世界中の2nmプロセス需要を一気に獲得しようという目論見を有している模様である。

TSMC高雄工場の建設計画には紆余曲折があり、当初は7nmと28nmプロセスの2つのファブが建設される計画であったが、スマートフォンやパソコンの需要低迷により7nmプロセスの導入が先送りされ、次いで28nmプロセスも棚上げとなり、最終的に最先端となる2nmプロセスの導入が決まった模様である。すでに工場の建設は2022年から始まっており、2025年より量産を開始する予定となっている。

なお、TSMCの熊本工場(JASM)や独ドレスデン工場は、28~12nmプロセスが採用され、米アリゾナ工場も先端ではあるものの4nmプロセスの採用、ならびに将来的には3nmプロセスが採用される予定となっている。台湾政府は、最先端プロセスの台湾域外へ出さぬように指導しており、そうした意向もあり、TSMCの最先端となる2nmプロセスはあくまでも台湾域内にとどめる方針が明確となったものとみられる。