SK hynixが2023年第2四半期の決算概要を発表した。
それによると、同四半期の売上高は前四半期比44%増、前年同四半期比47%減の7兆3060億ウォン、営業損失は2兆8820億ウォン、純損失は2兆9880億ウォンと、前四半期から赤字が続いている。
DRAM価格の上昇が収益を押し上げ
SK hynixによると、第2四半期においてはDRAMならびにNANDともに売り上げが増加。特にDRAMの平均販売価格(ASP)が上昇したことが収益を押し上げる要因となったとしている。PCやスマートフォン(スマホ)などの需要低迷を受けたDDR4をはじめとする一般的なDRAM製品の価格は下落が続いたものの、AIサーバ向けのハイエンド製品などが売り上げを伸ばしたという。また、在庫の評価損の減少やコスト削減の継続的な取り組みなどもあり、営業損失の削減も進められたとしている。
こうした取り組みに加え、HBM3、DDR5、LPDDR5などといったハイエンドDRAM製品や176層3D NANDベースのSSD製品の販売拡大を図り、収益改善を推進すると同社ではしているほか、2023年中にDRAMにおける10nmプロセス技術の第5世代となる1β-nm(15nm未満) DRAMや238層3D NANDの品質と歩留まりの向上を図り、市況の好転に伴う量産規模の拡大につなげたいとしている。ただし、NANDの在庫水準はDRAMよりも高い状況が続いており、同社ではNANDのさらなる減産を進める予定ともしている。
メモリ市場は回復期に突入か?
同社では、第2四半期を総括して、「主にChatGPTを中心とした生成AI市場の拡大を背景にAIサーバ向けメモリの需要が急速に増加している。その結果、HBM3やDDR5といったプレミアム製品の売り上げが伸びており、同四半期の収益は前四半期比で44%増となったほか、営業損失も同15%ほど縮小している」としており、今後も経営効率化によって確保したリソースをもとに、ハイエンドDDR5やHBM3の生産能力拡大に向けた投資を継続して実施していくことで、将来の市場成長に備えたいとしている。
なお、同社では半導体メモリ市場は2023年第1四半期が底であり、第2四半期以降は回復期に入ったものとの見方を示しており、今後、さらに回復していく市場に対して、ハイエンド製品の技術競争力を中心に収益の下支えを図っていくとしている。