TSMCは7月20日、2023年第2四半期(4~6月期)の売上高が前年同期比10.0%減、前四半期比5.5%減の4808億4000万NTドル、純利益も前年同期比23.3%減、前四半期比12.2%減の1818億NTドルとなったことを発表した。四半期ベースでの減収減益は2019年第1四半期以来となる。
またドルベースで換算しても売上高は前年同期比13.7%減、前四半期比6.2%減の156億8000万ドルとなったともしている。このほか、粗利益率は54.1%、営業利益率は42.0%、純利益率は37.8%としている。
生成AI関連の需要は高まっているものの、スマートフォン(スマホ)やPCなどにおける需要の落ち込みを相殺するまでには至っていない模様である。
2023年通年売上高も前年比10%減へ下方修正
TSMCでは、現在の事業見通しに基づいて、2023年第3四半期の業績予想を、売上高が167億ドル~175億ドル(為替レートを1ドル=30.8NTドルと仮定)、売上総利益率は51.5%~53.5%、営業利益率は38%~40%としているほか、通期売上高については、前年比10%減となるとの見方を示している。2023年初頭には前年比で微増、4月時点で1~5%ほどの減収と予測をしていたが、今回、さらなる下方修正を行ったことになる。先端プロセス、特に3nm製品の伸びが期待される一方、顧客の継続的な在庫調整の影響が残っており、市場全体の回復は2024年に先延ばしされる可能性があるとの見方を示している。
先端プロセスが第2四半期の売り上げの53%を占める
同社によると、第2四半期の売上高に占める5nmプロセスの割合は30%を超え、7nmも23%ほどとなり、7nm以下の先端プロセスだけで売り上げの53%を占める結果となったという。ほかのプロセスの割合としては16nmが11%、28nmも11%と、40nm以上で24%としている。
第2四半期の売上高をアプリケーション別でみると、HPC向けが44%、スマホ向けが33%とこの2つが2大アプリとなっているが、前四半期比で見るとHPCは同5%減、スマホも同9%減となっており、これにシェア8%のIoT向けも同11%減となり、市場減速が明確になっている。一方で売り上げシェア3%ではあるが、DCE(Distributed Computing Environment:データ回線終端装置)向けが同25%増と伸ばしている点が注目される。
また、地域・国別で売上高を見ると、北米が前四半期の63%から3ポイント増の66%へと伸ばした一方、中国が前四半期の15%から12%へと3ポイント減としている。日本と中国を除いたアジア太平洋洋は8%、欧州は7%、日本も7%と、この3地域・国は前四半期と比率に変化はなかった。TSMC CEO兼社長のC.C.Wei氏は、中国市場での半導体需要が予想以上に少なくなってきていることが、通年の売上高を下方修正した一因になっていると説明している。